会議の質を高めるファシリテーション7つのポイントと必要なスキル

From: 働き方改革ラボ

2022年07月20日 07:00

この記事に書いてあること

会社の戦略や方向性、新たな企画について決定をする、または意見を出し合う場である会議。

業務上とても重要な時間であるものの、その内容が意義のあるものなのか、時間をかけすぎているのではないかと考えている方もいるのではないでしょうか。業務全体の生産性を上げるためにも、会議の効率化は重要です。メンバーの貴重な時間を使うのなら、成果の出る会議を効果的に行いたいですよね。

今回は、会議を呼びかける経営層や管理職層が知っておきたい、会議の質を上げるファシリテーションのポイントについて解説します。

※2019年8月に公開した記事を更新しました

ファシリテーションとは?

会議の効率化を進める上で重要なのが、ファシリテーションの考え方です。ファシリテーションには大きく2つの意味があります。

  • ・集団での活動活動を円滑に進行し、成果が出やすい環境を作ること。
  • ・会議の活性化や、意見をまとめて全体の舵取りを行い成果に繋がる会議の手法のこと。

この2つのうち、特に会議の中でファシリテーションの役割をする人をファシリテーターと呼びます。

ファシリテーションの目的

会議におけるファシリテーションの最大の目的は、参加メンバー同士の「合意形成」を促進することです。

「合意形成」とは、会議参加メンバーが会議の目的と理由をしっかり理解をしながら、目標としてのあるべき姿を自ら描き、当事者レベルで意見の合意をすることです。一方的な指示や命令、演説だけでは会議参加メンバーは主体的にはなれず、チームとしての結束ができなくなります。

ファシリテーションの目的は、会議の中でメンバーのスキルと経験を引き出し、メンバーそれぞれが主体的に協力して問題解決にあたる状態にもっていくことです。

ファシリテーションの役割

会議におけるファシリテーションの役割は次の3つです。

  • ・メンバーの意見を引き出す
  • ・挙がった意見を整理する
  • ・意見から会議の内容をまとめる

これら3つの役割を遂行するために、会議内容が課題から逸れないように進行し、本来の会議の目的達成に繋げます。ファシリテーターはあくまで中立的な立場で意見をまとめ、会議を良い方向に導くための存在です。そのため自分の考えを発言するのではなく、決定権も持たないことが本来のファシリテーターとなります。

ただ日常的な会議や参加人数が少ない会議では、ファシリテーターも意見を出すことがあります。また多くのファシリテーターはチーム全体の管理を兼任していることが多く、管理職やリーダーとして会議の進行をサポートしながら、自ら意見を発信したり、会議内容をまとめて結論に導く、といった役割を担うこともあります。

ファシリテーションのメリット

会議の中でファシリテーションをするメリットを6つの観点で解説します。

1.参加メンバーの合意の実現

ファシリテーターの目的は、会議の中で中立の立場を取り、議題のゴールに向けて会議参加者の多種多様な考えや意見を引き出し、全員が納得できる結論へ導くことです。そのためファシリテーターがうまく機能している会議や活動では、参加者が納得した合意形成を実現することができます。

例えば社内で会議をする場合、会議の進行が自分の上司だと、参加者は上司の顔色ばかりを伺い、万が一意見が違っても反対しないといったケースが見られます。これでは会議の本来の趣旨とは反しますし、将来の業務に悪影響を及ぼす可能性があります。

そこで会議の時間を有意義に活用し、参加者全員が納得できる合意形成の場を作る存在として、ファシリテーションが重要になるのです。

2.生産性向上と社員の負担軽減に繋がる

ファシリテーターは部門や個人の利害関係とは切り離した会議の進行役です。そのため個別のしがらみに左右されることなく、結論へ向けた参加者の意見や考えをまとめることで会議の質が向上します。

会議の質が向上すれば、会議のための会議や無駄な作業が少なくなり、プロジェクト全体の生産性の向上と社員の負担軽減にも繋がります。

3.革新的なアイデアが生まれやすくなる

ファシリテーションがうまく機能することで、参加者全員の意見を引き出せるようになり、より革新的なアイデアを生み出しやすくなります。

従来にない発想やイノベーションに繋がるアイデアには、自由闊達に意見交換ができる環境や、出てきた意見を否定しない雰囲気が欠かせません。ファシリテーションがうまく機能している会議では、自社や業界の常識に囚われない自由な意見を出しやすくなるため、プロジェクトの成功や自社の成長に結びつくアイデアが生まれやすくなります。

4.参加者のやる気の創出

会議効率化による生産性向上と自分の意見が発しやすくなると、参加者は会議や組織に対して愛着を持ち始め、高いモチベーションを持って業務に取り組むようになります。

特に若手社員にとって、上司や先輩、取引先の参加が多い会議の中で自分の意見を自発的に発表することは容易ではありません。しかしファシリテーターが作った話しやすい雰囲気の中で気軽に意見を発することができるようになれば、若手社員にとっても発言しやすい挑戦の場となります。

社員とって自分の意見が会議の中で反映されることはモチベーションが高まるもの。参加者のやる気を引き出し、より課題解決に向けた議論のレベルを高めていくことで、職場環境の向上と社員のスキルアップといった好循環にも期待できます。

会議の質を高めるファシリテーション7つのポイント

会議を通じた生産性の向上には、事前準備や会議の進行ルールの設定など様々なポイントがあります。

ここからは生産性の高い会議に必要なファシリテーションの7つのポイントを解説していきます。

1.事前に会議の目的とゴールを共有する

会議の生産性を高めて成功に導くためには、事前に会議の目的とゴールを参加メンバーに共有することが大切です。

参加メンバーが目的を把握せずに会議に参加しても、有意義な議論はできません。会議の生産性を高めるために必要なことは、参加メンバー全員が同じ目的を持って同じゴールに向けた足並みを揃えることです。

そのためにも参加メンバー全員に会議の目的とゴールを事前に共有し、会議の生産性が高まる体制をつくりましょう。前回の会議から続く議題の場合は、前回までの内容を再確認しておくことも重要です。

また会議の開催に先立って、事前にアイデアや意見を準備してもらうと議論がスムーズに進みます。会議の場では意見を考えるのではなく、事前に容易した意見を出し合うところからスタートすれば、より発展的な議論へ展開していきます。

2.会議の役割を決める

事前に会議に必要な役割を決めておくとスムーズな進行がしやすくなります。必要な役割は下記4つです。

・ファシリテーター
意見を引き出し、まとめ会議をスムーズに進行する役割

・議長
会議全体のまとめと決定権を持つ役割

・タイムキーパー
会議が予定通り進行しているか時間管理をする役割

・書記
出てきた意見をホワイトボードに書いたり、議事録をまとめる役割

ファシリテーターの役割の中に議長やタイムキーパーが含まれることも多いでしょう。しかし参加者が多い場合や多くの議題を取り扱う場合には、役割を分担した方がファシリテーターの負担が減り、より会議の進行役に集中できます。

3.進行のルールを決める

会議の効率を高めるためには、事前に会議の進行に関するルールの設定が重要です。

具体的には、会議への積極的な参加を促すために、参加者全員が必ず1回は発言することや、1つの意見に対して時間的な制約を設けることも会議の効率化には効果があります。

その他、議論の活性化のためには、他の人の意見を否定しないことや、反対意見を述べる際には改善点も提案する、といったルールを設けるとよいでしょう。

4.参加者の意見を引き出す

会議を有意義なものにするため、ファシリテーターによる参加者から意見を引き出す取り組みも重要になります。

参加者全員の積極的な意見を促すためのポイントは、主に3つあります。

発言者の偏りを避ける

単に意見を出し合うルールのもとでは、役職が高い人や発言力のある人が話す時間が増えてしまい、発言者の偏りが出てしまいます。そのため発言者の偏りを避けるためにも、参加者に順番で1人ずつ発言してもらうルールや、参加者が自分の意見をまとめる時間をつくってから発言する、といった全員がフラットに発言できる工夫をするとよいでしょう。

発言者が話しやすい雰囲気を作る

より積極的な意見を引き出すために、発言者が話しやすい雰囲気作りも重要です。

具体的には、発言者に対して適切な相槌や否定をしない話し方といった参加者が話しやすくなる会議の空気づくりが大切です。万が一、発言者の論点がまとまらない時には、ファシリテーター自らが補足をし、参加者全員に意図が伝わるようにサポートしていきましょう。

多様な意見を受け入れる

ユニークで革新的なアイデアを引き出すために、多様な意見を受け入れる会議の場を作りましょう。発言者に対しては間違いを恐れることなく発言できる場所であることを伝え、より多様なアイデアや新しい意見を引き出せるようにするとよいでしょう。

5.議論の本筋と合っているのか確認する

会議を効率的に進めるためには、「話の脱線」や「論点とのズレ」を修正し、議論の軌道修正をしていくことも大切です。

議論が本筋からずれた場合は、目的を参加者と再確認するなどし、軌道修正していきましょう。中には議論が盛り上がってしまい、本来の趣旨に軌道修正しにくいケースもあります。こういった場合には、盛り上がる参加者に十分配慮しつつ、議論を一旦止めて、軌道修正にかかる勇気も必要です。

6.タイムキーピング

設定したゴールに到達するためには、会議の時間管理も欠かせません。

会議進行の時間割を設定しておき、議論内容ごとに進捗状況と時間の管理をしながら会議を進めていきましょう。その際にあらかじめ議論内容の優先順位を決めておくことで、どうしても時間内に会議がおさまらない時には、議題ごとのウェイトの調整や、別途会議の設定、議論が必要ないものに関してはメールや個別共有といった対応も検討できます。

7.会議の結果は行動につなげる

会議は議論して終わりではなく、必ず行動に繋げるようにしましょう。

そのため会議中は、意見をまとめるだけではなく、具体的な次の行動の決定まで到達するよう意識することが大切です。会議の場で結論を出して終わりにするのではなく、会議終了後も決定事項が実行できているかをチェックする体制を整えていきましょう。

ファシリテーションに必要な4つのスキル

会議の効率を高めるファシリテーションには主に4つのスキルがあります。

1.理解力

会議をスムーズに進行する上で欠かせないスキルが理解力です。

会議では様々な角度から色々な意見が出てきます。ファシリテーターは、そうした多種多様な発言内容を理解し、整理しながら進行していく必要があります。特に議論する内容はもちろん、参加者の立場や目的など議論の上では直接関係ない部分も理解することで、発言者の意見を把握しやすくなり、より円滑な会議進行ができるようになるでしょう。

2.論点をおさえ、整理する能力

会議で成果を出すためには、適切な意思決定が重要です。

議論の論点がズレてしまったり、重要なポイントを見逃したまま議論が進んだ場合、会議全体で間違った意思決定をしてしまいます。このようなケースを防ぐためにも、ファシリテーターは、議論の論点を十分に理解した上で、間違った意思決定に進まないように会議を進行していく必要があります。また会議の目的と即して、発言者の内容を十分に理解した上で、論点について深堀していくか、次の議論にうつるのかの判断を求められます。

3.質問力

議論を円滑に進行するためには、不明点や疑問点を適切に問いかける質問力が必要です。

会議の中で発言者から出てきた内容が不十分な場合には、具体的にはどういったことを指すのか、聞き手や自分の理解が合っているのか、を適宜質問していくようにしましょう。質問の際には、相手の意見や体験といった相手に聞かなければわからない問いを質問することが重要です。また質問というかたちで、発言者も気づいていなかった考えを引き出せると、より抜け漏れのない質の高い会議になるでしょう。

4.聴く力

会議の発言しやすい雰囲気づくりや、発言の活性化のためにはファシリテーターの聴く力が欠かせません。

特に発言者は聞き手が話を聞いてくれているのか、理解をしているのか、自分が的外れな意見を言っていないかといった不安を抱きがちです。そこでファシリテーターが主体となって、積極的に発言者の意見を聴き、理解しようとしている態度を示すようにしましょう。

具体的には、以下の四つです。

  • ・発言者に顔や体を向ける
  • ・発言者の目をしっかりと見る
  • ・適切な場所で頷き、相槌を入れる
  • ・発言内容を要約し、自分の理解をしめす

こういった取り組みを繰り返すことで発言者は安心して自分の意見を発信できるようになり、徐々に議論が活発な会議の雰囲気になっていくでしょう。

ファシリテーションが機能することで会議が効率化する

メンバーを集めて会議室と時間を決めれば行える会議。日常の業務が忙しいと、会議の準備や、会議中のファシリテーションにまで意識が回らないかもしれません。しかし議題だけを決めて何も準備せずに会議に臨んでは、せっかくメンバーで合わせた時間をムダにしてしまいます。

ファシリテーターを中心に、会議のルールを定め、会議を円滑に進行するためのコツを意識して議論を進めることで、会議の質はぐっと上がります。

ファシリテーションが機能する体制を整えて、会議の効率化に向けた体制を整えてみてはいかがでしょうか?

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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