電子契約導入のメリットと注意点は?導入ステップも解説

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業務効率化を目指す動きや、テレワークの浸透でペーパーレス化が進む中で注目されている電子契約。紙の契約書に代わるものという知識はあっても、実際にどのように導入・運用を進めるのか詳しく知らないという人も多いのではないでしょうか。今回は、電子契約に興味を持つ方のために、電子契約の概要とメリットから、導入のために必要なステップ、電子契約システム選定のポイントまで解説します。

電子契約とは?

電子契約とは、取引先との間で書面によって行われていた契約を、インターネット上で交わす方法です。電子データ上で電子署名を行うことで、書面の契約書と同様に、双方の合意の証として残すことができます。

ペーパーレス化による国民の書類保存の負担軽減と利便性向上のため、電子帳簿保存法や電子署名法といった法律が整備されました。従来、文書での保管が義務付けられていた書類を電子データで保存すること、そして電子署名に、手書きの署名と同等の効力を持たせることが認められました。電子契約では、押印の代わりに電子署名または電子サインが使用されます。さらに、契約書が作成された時間を証明するタイムスタンプによって、電子データの改ざんを防ぎます。

JIPDEC(一般財団法人日本情報経済社会推進協会)の2020年の調査によると、電子契約サービスを利用している企業は 43.3%で、今後の利用を検討している企業は27.5%。7割を超える企業が、電子契約を採用、または採用を検討しています。2018年と比べると採用または利用を検討している企業は7ポイント増加するなど、電子契約の普及が進んでいます。

電子契約の導入は、電子契約サービスを利用するのが一般的です。契約書の作成から電子署名・タイムスタンプの押印、そして相手先の確認や押印を経て契約書を完成するまでの業務が行えます。電子文書の保管や検索、また承認ステータスの把握など、契約業務を効率化する機能も付いています。

電子契約導入のメリット

では、電子契約を行うことにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

業務の効率化

契約業務の手間を削減し、生産性を向上することができます。紙の契約書を交わすケースは、作成から取引先の手元に届けるまでに、印刷、ホチキス止めや製本、押印や署名の手続き、封筒への封入、郵送という作業が必要です。また、相手の確認と押印、返送も必要で、契約に至るまで時間と手間がかかります。電子契約はインターネット上で契約業務が行えるため、パソコンの作業のみで完結します。電子契約サービスによっては契約ステータスも確認できるため、到着確認などの作業負担を減らせます。

契約書の管理や検索がしやすい

電子契約によって交わされた契約書は電子データとして保存されます。紙の契約書を探すときは、キャビネット等に保存された契約書ファイルを取り出して目視で探す必要がありますが、電子データは検索がスムーズです。相手の名前や日付を組み合わせて検索ができるため、契約の失効や更新の必要性のチェックといった、契約情報の適切な管理も可能です。

経費削減

コストを削減できることも電子契約のメリット。電子データで保存する契約書には印紙が必要ないため、印紙代がかかりません。また、印刷や紙の費用、郵送代など、紙の契約書に必要なコストも不要。製本などに要していた人員の人件費も減らせます。電子契約のデータはクラウドやサーバー上に保管されるため、紙の契約書の保管に必要だったオフィスのスペースもカットできます。

受け取りや押印のために出社する必要がない

感染症対策でテレワークが普及する中でも、押印や書類の発送、受け取りなどの契約書関連業務のために出社を余儀なくされる事態が発生しています。電子契約なら、契約書作成から相手とのやり取りまでをパソコン上で行えるため出社が不要。働き方を柔軟に選べるのも、電子契約のメリットです。

コンプライアンス強化

電子契約は、電子署名とタイムスタンプによって改ざんのリスクを減らせます。紙の書類においては印鑑の捏造による改ざんの可能性もありますが、電子契約で交わした契約書は変更履歴の記録や、編集時のメッセージ表示といったシステム上の機能で不正をチェックできます。また電子契約は、誰がいつどんな作業を行ったかというフローの記録も可能。そのため、契約書の紛失や締結漏れといったリスクを軽減できます。クラウドやサーバー上にデータが保存されるため、物理的な紛失や持ち出しによる情報漏洩も防げます。契約書の管理体制の強化ができることも、電子契約の特徴です。

電子契約導入の注意点

では反対に、電子契約を導入する上での注意点や、デメリットと言える特徴はあるのでしょうか。

業務フローを変更する必要がある

電子契約を導入して契約書を紙から電子データに切り替える場合は、契約業務フローの変更が必要です。社内に対して、フロー変更や電子契約のメリットについての十分な説明や、電子契約システムの使い方の教育も必須。電子契約システムの選定など、導入準備に担当者の手間がかかることも注意しましょう。

取引先の理解を得にくい

電子契約導入のためには、社内だけでなく、契約書を交わす社外に対しても業務フローの変更を依頼する必要があります。書面による契約が浸透している企業の中には、電子化に抵抗感を持つ会社もあるでしょう。電子契約への理解を得るステップが必要なのがデメリットのひとつです。

電子化できない契約書もある

法律的に、紙の書面作成が義務付けられている契約が一部存在することも押さえておきましょう。契約は、原則的に当事者間の合意があれば、書面の作成や署名・押印がなくても成立します。ただ、例外として、定期借地契約や定期建物賃貸借契約など、一部電子契約ができない契約もあるので注意が必要です。

電子契約導入に必要なステップ

次に、電子契約導入の際の具体的な進め方について解説します。

①契約書管理体制の把握

まずは、現在の社内の契約書管理体制を確認します。これは、適切な電子契約サービスの選定や、業務フロー見直しを行うために必要なステップです。発生・管理している契約書の種類や内容、契約に関する意思決定フローや業務フロー、契約書の保管方法などを把握しましょう。

②電子契約導入範囲の決定

次に、電子契約を導入する契約書の種類や範囲を決定します。最初からすべての契約書で導入せずに、取引先の同意を得られた契約書や、社内向けの雇用契約書から導入を始めるのもおすすめです。

③電子契約サービス・契約書管理サービスの選定

電子契約を導入する上で利用する電子契約サービスや、契約書管理サービスの選定を進めます。電子契約を実際に運用する部署の担当者の意見もヒアリングした上で、契約書運用体制の現状を照らし合わせて、自社に合ったサービスを選びましょう。

④電子契約のルール整備

電子契約についての社内ルールを整えます。電子契約を行う契約書の種類、承認フロー、業務フローを明確に定めておくことがスムーズな導入に不可欠です。ルールを周知するための社員への説明会の開催や、運用時の問い合わせ対応に備えたマニュアルの準備も進めましょう。

⑤社内外への電子契約導入の周知

導入前に、社内や社外の取引先に電子契約を導入する旨を連絡しましょう。理解を得た上で、電子契約システムの利用を積極的に進めてもらうために、電子契約のメリットや導入する理由を丁寧に説明することが大切です。

電子契約サービス選定のポイント

電子契約サービスは、利用料や機能の幅もさまざまです。自社に合う電子契約システムを見つけるために押えておきたいポイントをお伝えします。

電子帳簿保存法への対応状況を確認

電子帳簿保存法では、紙の文書と同様の効果が認められる電子データの条件として、信頼に値する書類としての「完全性」を確保することが定められています。電子データ作成の時刻を記録できるタイムスタンプと電子署名を組み合わせることで、改ざんなどがない安全な契約書であることが証明できます。法的効力のある契約書をインターネット上で交わして電子データで保存したい場合は、電子契約サービスにこの機能が整備されているかどうかチェックしましょう。

セキュリティ対策は万全か

インターネット上で契約業務を行う上で欠かせないのがセキュリティ対策。サイバー攻撃による情報漏洩を防ぐセキュリティ対策の有無についても、サービス選びの重要なポイントです。アクセス制限や従業員の操作ログの確認など、内部から発生するリスクを防ぐ機能があるかどうかも確認しましょう。

契約を結ぶ相手にとっての使いやすさもチェック

契約を行う相手先にとって使いやすいシステムかどうかも重要なポイントです。相手側も登録が必要なサービスもあれば、メールを開封するのみで契約書の確認ができるものもあります。取引先に多くの負担をかけないサービスを選ぶことが、電子契約のスムーズな運用のために大切です。

既存システムとの連携の可否

社内の既存システムと連携する機能が整ったサービスもあります。会計管理システムや顧客管理システム等と電子契約システムを連携させることで、書類の自動保管やデータの転記が可能です。社内の業務のさらなる効率化を実現したい方はチェックしましょう。

導入のポイントをおさえて業務効率化を実現しよう

テレワークの浸透で、今後ますます普及する見込みの電子契約。契約を交わす手続き自体を効率化するだけでなく、書類の管理や関連する業務の生産性向上も期待できます。トライアルプランや無料プランを用意している電子契約サービスもあるので、まずは試しに利用して使い心地をチェックしてみるのがおすすめです。自社に合ったシステムを選んで、生産性アップを実現しましょう!

社内の申請文書の見直しもしてみませんか?

電子契約は社外との契約の電子化ですが、社内の申請文書の電子化も検討してみませんか。そのハンコは本当に必要なのか、効率化を進めるには、などをまとめた資料をご用意しております。

参考・出典

一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)
「企業IT利活用動向調査2020」にみるIT化の現状 IT-REPORT 2020 Spring
契約書管理サービス | 株式会社リコー
法制度から考える、今すぐ取り組めるペーパーレス化 | 働き方改革ラボ
電子帳簿保存法関係|国税庁

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