文書管理システムのメリットデメリットとは?選び方も解説

From: 働き方改革ラボ

2022年08月04日 07:00

この記事に書いてあること

働き方改革や業務効率化を考える上で重要な、企業の文書管理。最近では、テレワーク推進のために、文書を電子化して管理する会社も増えています。そこでこの記事では、文書管理の基本と、文書を電子化する際のメリット・デメリットを解説。自社の文書の適切な管理のために、ぜひお役立てください 。

※2022年1月に公開した記事を更新しました

文書管理システムとは

文書管理システムとは、電子文書の保存や必要に応じて活用、破棄するまでを一括管理できるシステムのことです。

文書管理システムの導入によって、「必要な文書の保管や保存」、「情報やナレッジの有効活用」を実現できるため、必要な文書を誰でも必要な場面で利用できるようになり、業務効率の向上に役立ちます。

文書管理システムの主要機能

文書管理システムは社内の文書管理に係る作業効率を向上させるために、主に下記のような主要機能があります。

文書検索機能
文書の分類やタグ、全文検索で該当の文書を検索できる機能。

バージョン管理機能
作成した文書をバージョン管理し、常に最新データを参照できる機能。

セキュリティ機能
文書へのアクセス制限や情報漏洩対策機能。

保管期間や更新日の更新機能
法律で定められた保管期間の設定や、更新日や更新箇所を確認できる機能。

ワークフロー機能
文書の承認や稟議に係るワークフローを設定できる機能。

マルチデバイス対応
PCやスマートフォン、タブレットに対応し、インターネット環境があればどこからでも文書確認ができる機能。

これらの機能を活用することで、今まで文書管理にかかっていたコストや時間を削減できるようになります。

従来までの文書管理の課題

文書管理システムの導入が進む背景には、従来までの文書管理体制に対する3つの課題があげられます。

紙面管理による作業の非効率さ

従来までの文書管理体制での課題として「紙面管理による作業の非効率さ」があります。

文書を紙面で管理をする場合、該当の文書を見つけるために1枚1枚の書類を探す必要があります。テレワークで業務にあたっている社員の場合、文書を探すためだけに都度出社する必要が出てきたり、文書を見つけるだけで業務時間を使ってしまうといった時間とコストがかかってしまいます。

また意思決定の際にも、担当者のハンコを求め、1枚の書類でやりとりする必要があります。これでは全員のハンコをもらうまでに時間がかかってしまい、最終的な意思決定までにタイムログが発生します。

文書を紛失するリスク

次に挙げられる課題が「文書を紛失するリスク」です。

紙面で文書を管理している場合、人の手でアナログ管理することになるため、文書が増えるに従って管理工数がかかってしまいます。多くの書類をやりとりする事業者の中には、管理が行き届かない書類が出てきてしまい、所在不明の書類が発生するケースがあります。

定期的に文書の管理情報をアップデートできればよいですが、棚卸の際に持ち出されている文書があったり、そもそも担当者しか書類の存在を知らない場合、その文書自体が把握されないまま所在不明になってしまう可能性もあります。

こういった事情を背景として、事業所の移転の際や文書管理者の引き継ぎの際に重要書類の紛失が発生してしまうのです。

情報の属人化

紙面で文書を管理する場合、文書によく触れる社員と全く触れない社員が出てきます。当然、文書管理は普段から文書によく触れる社員が担当することになるため、徐々に情報の属人化が起こります。

情報の属人化は社内ナレッジが閉鎖的になるため、社員同士のスキル共有が難しくなります。また属人化してしまった情報は担当者不在の時には情報が引き出せなくなってしまったり、引き継ぎの際に膨大な時間がかかることもあります。

文書管理を電子化するメリット・デメリット

ここからは文書管理を電子化するメリットとデメリットを見ていきましょう。

文書管理を電子化するメリット

文書管理を電子化する主なメリットは5つです。

業務の効率化ができる

文書管理の電子化によって、業務の効率化をはかることできます。

まず文書を電子化して管理することで、必要な時にシステム上で素早く書類を見つけ出すことができます。マルチデバイス対応なシステムを導入すれば、遠隔地にいる場合でもPCやスマートフォン、タブレットを使用していつでも必要な文書を取り出すことができます。

従来までの文書管理体制とは異なり、紙面を1枚ごとにめくりながら該当箇所を探す必要もなくなるため、文書管理に係る業務の効率化につながります。

セキュリティリスクの軽減

文書管理システムのセキュリティ機能を活用することで、情報漏洩や紛失、改ざんといったセキュリティリスクを軽減することができます。

情報漏洩対策としては、文書ごとに閲覧制限や編集制限をかけることで、機密性の高い文書や個人情報の漏洩防止対策を強化することができます。またデータの改ざん対策には、文書にタイムスタンプをつけ、後から情報が書きかわってしまうリスクを防止することができます。

情報の属人化を防ぐ

文書管理システムを導入することで、データを利用した文書管理ができるようになるため、社内やチーム内で手軽に情報共有することができます。またチーム内で文書管理もできるため、情報の属人化防止や、社員1人かかる作業工数の削減、情報共有の活性化による社員のスキル向上や業務の効率化にもつながります。

ペーパーレス化によるコスト削減につながる

文書管理システムを導入することでペーパーレス化を実現できます。ペーパーレス化によって、文書作成に必要だった紙代やプリント代、紙面管理のための広い空間は不要となり、企業の規模によっては大幅なコスト削減が期待できます。

古いデータを使用するトラブルを回避できる

文書管理システムは該当書類のバージョン管理ができるため、常に最新データのみを利用し、古いデータと混合してしまうトラブルを回避することができます。

最新データとは別に古いデータの保管も可能なため、万が一の場合に備えたバックアップの用意やデータの差し戻し対応も可能です。つまり文書システムの導入によって、トラブル回避と作業効率の向上も期待できるようになります。

文書管理を電子化するデメリット

次に文書管理を電子化する主なデメリットを2つ紹介します。

導入コストや運用コストがかかる

文書管理システムの導入の際には、システム導入に伴う導入費用とシステムを運営するためのランニングコストや、社員が円滑にシステム利用ができるようになるための教育コストが欠かせません。

文書管理システムを有効活用するためには、導入時のシステム設定が重要です。文書ごとの保存期間の取り決めや、入力するべき項目の設計、ワークフローの構築など、中長期視野にたったシステム設計が必要です。円滑な文書管理の運営には、あらかじめコストがかかることを把握した上で導入を検討しましょう。

運用状況に合わせて社内ルールの見直しが必要

文書管理システムは導入して完了ではなく、運用状況を見ながら出てきた課題や改善点を洗い出し、定期的な運用ルールの見直しが必要です。

例えば導入当初は整理されていたファイルも、長期の運用と携わる社員が増えることでデータが散らばってしまうことがあります。この状態では本来持っているシステム機能を活用できなくなってしまうため、定期的なデータの整理が必要になります。

システム自体も法改正や社会変化に合わせて新機能が追加されたり、機能がアップデートされることがあります。これらの状況に合わせて、より自社に使いやすいようにシステムをカスタマイズしていく必要もあります。

自社の運用状況やシステムの変化と合わせて、定期的な社内ルールを見直す体制を整えていきましょう。

文書管理システムの選び方

文書管理システムのメリット・デメリットを把握したところで、具体的な文書管理システムの選び方を見ていきましょう。

導入目的が明確になっているか

具体的な比較選定をする前に、なぜ文書管理システムを導入するのか、導入することで何を達成したいのか、といった導入に関する目的とゴールを明確にしておくことが重要です。

システム導入に関する目的とゴールが明確になっていることで、導入するシステムの選定基準が絞られ、より自社に最適なツールを見つけやすくなります。

必要な機能が備わっているか

導入の目的と達成するべきゴールが明確になった次は、文書管理システムに求める機能を具体化していきます。目的とゴールに合わせて必要と思われる機能を全てリストアップし、それらを網羅する文書管理システムを選定していきます。

また機能だけでなく、自社の状況に合わせた文書の検索性やセキュリティ、サポート体制を含めた総合的な観点で選定していくとよいでしょう。機能の充実性よりも、自社のニーズに合ったシステムを選ぶことが重要です。

セキュリティ対策が十分にできているか

文書管理システムには機密情報が含まれているため、セキュリティ対策が十分にできているサービスなのかを確認する必要があります。

特に電子化された文書は、理論上は簡単に外部流出できてしまうため、内部からの不正アクセスや社員のミスによる情報漏洩を事前に防ぐ必要があります。そのためには役職や部署ごとに閲覧制限を設けたり、自社の状況に合わせたリスク回避のためのセキュリティ機能がついているか、といった点で検討することをおすすめします。

マルチデバイスに対応しているか

業務の生産性を高める観点では、マルチデバイスに対応しているか、といった点も非常に重要です。マルチデバイスとは、PCやスマートフォン、タブレットなどの様々な電子機器を使用して文書の閲覧や編集、承認ができる機能です。

マルチデバイスに対応しているシステムであれば、場所や時間を問わずに文書を確認できるため、意思決定の迅速化や生産性の効率向上につながります。

導入形態がどうなっているか

文書管理システムには、自社に合わせたシステムを自社サーバー内に構築する「オンプレミス型」と、あらかじめパッケージ化されたクラウドサービスを利用する「SaaS型」があります。

オンプレミス型

オンプレミス型は自社サーバー内にシステムを構築するため、SaaS型に比べてセキュリティ性が高いことが特徴です。また自社の運用状況に合わせて柔軟にカスタマイズできるサービスが多く、よりニーズに合ったシステム構築ができます。一方で、事業者ごとに独自に構築するため、初期投資がかかり、自社のサーバー管理や定期的なメンテナンスが必要になります。

SaaS型

SaaS型はインターネット上のサーバーを利用して文書を管理します。パッケージ化されたサービスを導入するため、独自サーバーの用意やメンテナンスも不要です。そのため初期投資とメンテナンス費用を抑えることができます。セキュリティについてはサービス提供業者に一任することになるため、サービス内容とともに、セキュリティ対応についてもチェックする必要があります。

業務効率化には文書管理システムの導入がおすすめ

紙から電子へのスムーズな移行には文書管理システムの活用がおすすめです。文書管理システムとは、データでの文書作成から保管、処分までを一元管理できるシステムです。検索方法が豊富で、使いたい書類をスピーディに取り出せる上に、アクセス権限やアクセスログ取得などセキュリティ対策機能も充実しています。保管期限の設定によって廃棄すべきタイミングで書類を処分できるなど、システム活用によって、文書電子化による業務改善の効果がさらに高まります。

テレワーク推進のためにも電子管理システムの導入を!

適切な分類と準備のもとで行えば、生産性向上に寄与する文書管理。電子化も同時に実施することで、テレワークなどの多様な働き方の実現など、企業の働き方改革も推進させます。

働き方改革ラボでは、電子文書によって実現しやすくなるテレワークについて、その導入手順をまとめた「テレワーク導入 虎の巻」を公開。表面には「導入までの全体像」、裏面には、導入時に重要な「人事・労務の観点」「ICTの観点」「実施の観点」を記載しています。全体像を理解することは、働き方の変革に向けた第一歩です。この資料を参考に、テレワークの導入を検討してみてはいかがでしょうか?

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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