流通業の課題を解決するDXとは?必要性からメリットまで徹底解説

From: 働き方改革ラボ

2022年04月06日 07:00

この記事に書いてあること

DXを導入する企業が増えており、流通業においてもDXの必要性が問われています。この記事では、流通業で働き方改革を検討している方に向けて、流通業におけるDXの必要性や具体的なメリットについて解説します。また、DXの導入によって実現できることや活用例も紹介しているため、ぜひ参考にしてください。

流通業の現状

まずは、流通業がどのような現状にあるのか、以下で詳しく解説します。

モノが売れにくい

デフレの影響によって市場における需要と供給のバランスが崩れ、モノが売れにくくなっています。従来は、商品の品質が差別化につながっていましたが、デフレが長引くにつれ、企業間の開発競争が起こり、市場には質の高い商品があふれるようになりました。品質がよくても高価格のものは売りにくいという現状が続いています。
また、消費者の意識に変化が起きたことも要因の一つです。似たような商品でも付加価値があるもの、特別感を与えられるものが売れる傾向にあります。

消費者ニーズが変化している

消費者ニーズの変化は、ニューノーマル時代において流通業に大きな変革をもたらしました。高度経済成長期には次々と新製品が開発され、消費者は最新の商品を所有することに重きをおいていましたが、生活に必要な家電製品や自動車などが消費者に行き渡ると、消費者の意識はモノを所有するよりも体験で得られることを重視するようになりました。
例として、消費者ニーズの変化によって生まれたものがシェアリングエコノミーと呼ばれるビジネスモデルです。カーシェアリングや民泊、サブスクなどを始めとするサービスが注目を集めています。

店舗での購入につながりにくい

インターネットの普及やコロナ禍の影響もあり、店舗で直接購入する人よりもオンライン上で商品を購入する人が増えています。スマートフォンが普及すると、実店舗を持たないネットショップも台頭するようになりました。
実店舗をもつショップはECサイト事業に参入し、実店舗はショールーム化が進み、顧客は試着や使用感を実店舗で確認し、ネットショップで商品を購入するというケースが増えています。

流通業でDXを活用してできること

DXとは、「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の頭文字を取ったものです。英語では、「Transformation」の「Trans」に交差するという意味があるため、「X」と表記されることが多いです。おもに、人工知能(AI)や仮想現実(VR)、ロボティックプロセスオートメーション(RPA)などのIT技術を駆使してビジネスに変革を起こすといった意味で用いられています。
たとえば、ビジネスモデルや商品・サービス、業務、プロセスなどを変革することで、競合他社よりも優位なポジションの獲得を目指すなどの目的が挙げられます。

オンラインの強化

上述したように、ニューノーマル時代に入り、消費者のニーズに変化がもたらされ、EC事業への参入や強化する動きが多くの企業で見られます。オンラインでの販売に有効な方法として注目を集めているのがOMO(Online Merges with Offline)です。
OMOとは、オンラインだけでなくオフラインも組み合わせた販売方法や概念を指します。具体的には、ネットショップと実店舗で購入履歴のある顧客データを分析し、顧客の好みにあった商品をネットショップ上のおすすめ商品に掲載するなどの方法が挙げられます。

データの活用

DXの導入により、インターネット上の顧客の行動履歴を分析できるようになりました。たとえば、レジでの支払いやECサイトから得られる顧客の属性、購入商品の種類、購入頻度、ECサイト上の閲覧ページなどのデータを収集できます。さらに、AIを導入すればデータ分析を自動化できるうえに、顧客ごとにあったアプローチで販売促進につなげることも可能です。

サブスクリプションの導入

サブスクリプション(サブスク)とは、必要な商品やサービスを一定期間だけ利用できるサービスのことです。普段使う身近なサービスの一例として、月額料金を支払うだけで好きな動画を視聴できる動画配信サービスがあげられます。改革の一つとして、サブスクリプションの導入を検討してみましょう。

勤怠管理の効率化

勤怠データの集計やタイムカード管理、シフト作成などの業務を一本化できる管理システムやツールの導入により、勤怠管理業務の効率化を図れます。自社サーバーに構築する方法以外に、自社の規模や業務内容にあったクラウド型の既存サービスを利用する方法もあります。

在庫管理の効率化

在庫管理にAIを導入することで、業務の自動化につなげられます。また、AIは過去の在庫データや販売状況などのデータを分析し、いつ・何が・どのくらい必要なのかを予測することも可能です。さらに、RPAと連携し、発注が必要なタイミングで行われるようになります。

社員教育のデジタル化

オフラインで実施していた社員教育を動画配信に切り替えることで、社員教育を含む研修のデジタル化を図れます。ほかにも、就業規則や業務内容を定めたマニュアルなどを、オンライン上で社員が閲覧できる環境を整備することもできます。

単純作業の自動化

特定のデータを既存ファイルなどの決まった場所へコピペする単調な作業は、RPAツールに置き換えることで単純作業の自動化を実現できます。RPAとは、パソコンやサーバー上で動作するロボットです。AIとの組みあわせによって、より複雑化した作業もこなせます。

迅速な情報伝達

従来は、会社から社員へ情報を伝達するまでに、タイムラグや行き違いが生じやすい傾向にありました。DXを意識し、スマートフォンやタブレットに情報を集約することで、スムーズな情報伝達を実現できます。

店舗運営の人員削減

セルフレジの導入によってレジ業務を無人化できるため、店舗の運営人数の削減も可能です。さらに、AIとIoT(モノのインターネット)を活用することで、商品の補充が必要になる適切なタイミングを知らせてくれます。

キャッシュレス対応

キャッシュレスに対応すれば、レジ締めに必要な作業を省略化できるうえに、時間の削減も可能です。キャッシュレス対応は店舗側だけでなく、現金の支払いの手間をなくせることから顧客にもメリットがあります。

安全対策

非接触型の決済システムを導入することで、コロナ禍の感染対策としても有効です。また、AIを用いた顔認証システムとサーモグラフィカメラの活用により、体温検知ができるほか、店内の混雑状況を瞬時に判断して入店制限のタイミングを知らせてくれます。

流通業でDXを活用するメリット

流通業でDXを活用した場合、どのような効果が得られるのか、以下で解説します。

顧客満足度の向上

流通業でDXを活用して顧客体験を向上させることができれば、顧客満足度のアップにもつなげられます。消費者のニーズはモノを所有することから、得られる体験へとシフトしています。
流通業でDXを活用すれば、自宅で商品を試せるシステムを作って待ち時間を減らす、在庫を正確に把握して迅速に受注対応する、キャッシュレス対応に切り替えて会計を簡略化するなど、顧客満足度を高めることができるでしょう。

コスト削減

DXの活用により、人員調整や在庫管理・発注業務などを自動化することで、人件費や経費の削減も可能です。上述したように、RPAツールを導入すれば単純作業を自動化できます。AIやサーモグラフィカメラなどを活用することで、コロナ禍でもスムーズな入店制限や体温検知を可能にします。無駄なコストを削減できれば、企業の利益の向上にもつなげられるでしょう。

業務効率化

さまざまな業務のデジタル化、オンライン化を推進できるため、業務フローを見直す機会が設けられ、業務の効率化を図ることができます。クラウドストレージなどの活用により、社員は必要なときに必要な情報やデータを閲覧できることから、社員間の情報共有もスムーズに行えるようになります。
さらに、研修動画を作成し、社員がパソコンやスマートフォンでいつでも閲覧できるような仕組みを構築すれば、研修担当者の業務負担を減らすことも可能です。業務の効率化により、従業員満足度の向上も期待できます。

流通業でDXを活用した事例

ここでは、流通業でDXを活用した企業の事例について紹介します。自社でDXを活用する際の参考にしてみてください。

店舗とECサイトをつなぎ売上をUPした事例

「4℃」ブランドを中心としたジュエリー事業を主に展開している株式会社エフ・ディ・シィ・プロダクツでは、リコーの「RICOH Handy Printer」を導入し、ブランド全体の売上アップを実現しています。4℃では、実店舗のほかにECサイトも運営していましたが、それぞれのデータを連動できるようなシステムはありませんでした。
実店舗で試着した商品情報を手書きして顧客へ手渡していましたが、「RICOH Handy Printer」の導入後は商品情報を印刷できるようになり、手書きする手間を削減できました。さらに、店員の名刺裏にECサイトのQRコードを印刷することで、ECサイトへの案内もスムーズに行えるようになり、売上のアップにつながっています。

POP業務の効率化によりコスト削減や地域密着型の売場作りを実現した事例

近畿・首都圏でスーパーマーケットを展開する株式会社ライフコーポレーションでは、「RICOH MightyPOP V」の導入により、POP業務の効率化や、独自性のあるPOPで差別化に成功しています。導入前は、誰が作成しても均一のPOPを作成できるシステムの構築や、コスト削減、季節や地域を盛り込んだPOPの作成などが課題でした。

導入後は、地域に根差した売り場づくりの実現や、店舗ごとにオリジナルのPOP・ポスターを簡単に作成できるようになりました。また、本部から各店舗へPOPを配送する必要がなくなったため、作成や配送にかけていた人件費や経費の削減にもつながりました。

契約書類・労務書類管理のデジタル化で、業務効率化と省スペース化を実現した事例

AOKIグループの戦略を担当している株式会社AOKIホールディングスでは、クラウドサービスの「リコー ドキュメントライフサイクルサービス」を導入したことで、契約関連や労務書類などのデジタル化、管理業務の効率化、保管場所の省スペース化を実現しています。導入前は、労務データの保管場所や各店舗からの問い合わせ対応に時間がかかっていました。
導入により、アクセス権限のある社員が電子化された書類を簡単に閲覧できるようになり、各部署で書類の電子化を行えるようになりました。さらに、ペーパーレス化によって書類の印刷コストを削減できるほか、保存期間後の書類を溶解処理する手間を失くすことにも成功しています。

まとめ

消費者ニーズの変化や店舗での購入につながりにくいなどの課題を解決し、売上アップや顧客満足度を向上させるために、DXの導入が有効です。オンラインの強化やデータの有効活用のほか、幅広い管理業務の効率化・自動化を可能にします。

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記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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