【補助金制度も】消費税増税と軽減税率、企業で必要な対応とは?

From: 働き方改革ラボ

2019年08月06日 07:00

この記事に書いてあること

2019年10月1日に消費税が10%に引き上げられますが、あなたの会社では準備や対策は進んでいますか?今回の増税では、日本で初めて「軽減税率制度」が導入されるため、今までの増税とは異なる対応が必要です。

今回は、増税軽減税率の実施に備え、企業が取り組むべき対応について考えていきましょう。

軽減税率とは?

軽減税率とは、「消費税を10%に上げるけど、一部商品は8%に据え置きするよ」という制度です。

2019年10月1日以降は、標準税率10%軽減税率8%という2つの税率での運用になります。

税率8%の対象は?

国税庁によれば、軽減税率の対象は以下と定められています。

  • 酒類・外食を除く飲食料品
  • 週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)

新聞についてはイメージがつきやすいのではないでしょうか?例えば、ご自宅で毎日配達があるような新聞を契約している場合は8%、コンビニで時々購入する場合は10%というイメージですね。

飲食料品については、外食対象外という点がポイント。逆に言えば、スーパーのお惣菜やお弁当を買って帰るファーストフードを持ち帰り(テイクアウト)する出前を頼む、といった場合は8%の対象となります。

消費税の引き上げに伴う経過措置とは?

今年の10月から消費税10%の運用がスタートする予定ですが、一部の取引においては、経過措置として改正前の税率(8%)が適用されるケースがあります。

国税庁によれば、主な経過措置対象は以下の通りです。

1.旅客運賃等
2.電気料金等
3.請負工事等
4.資産の貸付け
5.指定役務の提供
6.予約販売に係る書籍等
7.特定新聞
8.通信販売
9.有料老人ホーム
10.特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)に規定する再商品化等

経過措置の適用となる具体的な取引内容や時期については、各項目で異なるので、国税庁のホームページ「平成 31 年(2019 年)10 月1日以後に行われる資産の譲渡等に 適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A 【具体的事例編】」で具体的に確認しておきましょう。

企業で必要な対応とは?

軽減税率制度は、企業規模や業種に関係なく全ての事業者に関係することです。ここからは、企業が取り組むべき具体的な対応について見ていきましょう。

飲食料品や新聞類を取り扱っている場合

まずは、売上げ・仕入れを、税率ごとに「区分経理」し、売上税額や仕入税額を計算します。「区分経理」とは、どれが標準税率(10%)で、どれが軽減税率(8%)の対象か分かるように区分すること。小売業や飲食業の場合は、区分経理に対応したPOSレジや販売管理システムの検討が必要となるでしょう。

ほかにもオンラインショップやカタログ・店舗の価格表示の確認や、従業員への研修、店頭などでの消費者への周知といった準備も必要です。

卸売業や製造業の場合は、取引先に交付する請求書等の様式の検討が必要となります。

飲食料品や新聞類を取り扱っていない場合

飲食料品や新聞類の販売がない事業者であっても、仕入れ経費軽減税率対象品目があれば、仕入れを税率ごとに区分する「区分経理」を行う必要があります。

請求書帳簿の記載事項の見直しのほか、自社の会計システム経費申請システムなどに軽減税率と標準税率の2つの税率が反映されているかどうかについても確認が必要です。また、経過措置が適応される項目についても見直しておきましょう。

参考:「区分記載請求書保存方式」と「適格請求書等保存方式」

飲食料品の取扱いの有無に関わらず、全ての事業者にとって「区分経理」が必要となることは先に述べた通りですが、消費税の仕入税額控除の適用を受けるためにも、原則として「区分経理」をした帳簿の保存が必要になります。

仕入税額控除の方式として、2019年10月から2023年9月30日の間は「区分記載請求書等保存方式」が導入されます。現行制度の記載事項に加え、売上げ・仕入れ(経費)を税率ごとに区分して帳簿に記載することが必須となります。

そして、2023年10月以降は、「適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)」が導入されます。適格請求書とは「売手が、買手に『正確な適用税率や消費税額等』を伝えるための手段」になり、適格請求書発行事業者として登録を受けた事業者に限り交付可能な書類です。適格請求書発行事業者は、取引の相手方(課税事業者)から求められた場合、適格請求書の交付および交付した的確請求書の写しの保存が義務となります。この適格請求書発行事業者の登録申請書に関しては、2021年10月1日から提出が可能です。

使える補助金があるって本当?

こうした軽減税率制度の実施に伴い、対象の中小企業・小規模事業者に対して「軽減税率対策補助金」が適用されます。

これは、複数税率に対応したレジや券売機の導入や改修受発注システム請求書管理システムの改修等に要する経費の一部を補助し、導入等の準備が円滑に進むよう支援する制度のこと。

補助金のタイプには「A型/複数税率対応レジの導入等支援」「B型/受発注システム業務の改修等支援」「C型/請求書管理システムの改修等支援」の3種類があり、いずれのタイプも、対象となるのは日頃からレジや券売機、受発注システム・請求書管理システムなどを継続的に使っている企業です。申請には、申請書と、内訳がわかる証拠書類(領収書や請求書など)が必要になります。

また、2019年10月1日から2020年6月30日までの9ヶ月間に、「キャッシュレス・消費者還元事業」が、中小および小規模事業者に適用され、加盟店は、キャッシュレス決済の導入支援(端末の導入や決済手数料の支援)を受けることができます。

まとめ

まもなく施行される消費税増税と軽減税率制度。これまでとは異なる「複数税率」への対応として、自社の会計システムや日頃の手順の見直しに迫られている事業所も多いのではないでしょうか。まずは新しい税制を理解し、自社にとってどのような対応が必要か具体的に把握していきましょう。

ぜひこの機会に、バックオフィス部門の業務フローを今一度見直し効率化をはかることで、「働き方改革」推進の一つの機会としてみてください。

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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