建設業界の働き方改革とは?現状の課題と建設業働き方改革加速化プログラムも詳しく解説

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職場環境の改善や多様な働き方の推進を目的に、2019年4月に施行された働き方改革関連法。時間外労働の上限が規定されましたが、建設業界に対しては猶予期間が定められています。この記事では、働き方改革を検討している経営者や担当者のために、建設業界に求められる働き方改革について解説。自社の取り組みを進める際に、ぜひお役立てください。

建設業界で働き方改革が求められる背景

建設業界にとって今、なぜ働き方改革が必要なのでしょうか。その主な背景を解説します。

労働時間が長く休日出勤が多い

建設業界の働き方に関する課題のひとつが、労働時間が長く休日出勤が多いこと。中小企業から大手のゼネコンまで長時間労働が一般化しています。厚生労働省の「毎月勤労統計調査」によると、建設業の月間労働時間は168.2時間。全産業平均139.1時間と比較して毎月約30時間多く、年間にすると平均よりも300時間以上多いという結果が出ています。また月間出勤日数は20.5日。全産業平均は18日のため、平均よりも毎月2日多く出勤。週休2日も十分に確保されていないことがわかっています。

人手不足

建設業界では、就労者数の減少が進んでいます。国土交通省の2016年の調査によると、建設業就業者数は平成に入ってから増え続け、1997年にピークを迎え685万人に上りました。それ以降は減少を続け、2016年には28%減の492万人に。建設業で働く人のうち、技術者や技能労働者という専門スキルを持つ人材が減っていることも注視すべき問題です。

後継者不足

建設業界では、後継者不足も深刻化。国土交通省の2016年の調査によると、建設業就業者のうち55歳以上が33.9%を占めています。29歳以下の割合は11.4%で、全産業の平均値16.4%と比べても若年層の就労者が少なく、高齢化が進行しています。また、2027年頃には60歳以上の団塊世代の大量離職する見込みです。若い世代が不足し続けることによる技術継承の問題や、後継者不足が建設業界の大きな課題です。

建設業働き方改革加速化プログラムとは?

「建設業働き方改革加速化プログラム」とは、国土交通省が建設業界の働き方の課題を解決するための定めたプログラムです。以下に解説する「長時間労働の是正」「給与・社会保険」「生産性向上」という3つのカテゴリーごとに、働き方改革の取り組みを強化するための新しい施策がまとめられています。

長時間労働に対する取り組み

長時間労働を是正し、週休2日を確保するための施策です。公共工事における週休2日工事の適用の拡大や、週休2日工事の労務費等の補正の導入、共通仮設費、現場管理費の補正率を見直すなどの取り組みによって、建設業の週休2日制の導入を後押しします。また、「適正な工期設定等のためのガイドライン」の見直しを行うなどして、適正な工期設定を推進。発受注者の協力を促すことで長時間労働が起こらない仕組みを整え、労働者にとって働きやすい環境を実現します。

給与・社会保険に対する取り組み

働く人がスキルに見合った待遇や、公的な保障を得られる環境を作る取り組みです。適正な待遇を受けるための能力評価制度の策定、また技能者の資格や就業履歴などを業界横断的に登録できる「建設キャリアアップシステム」の構築などの取り組みを実施。発注者に工事施工の依頼を社会保険加入業者に限定するよう要請するなどして、社会保険の加入を建設業のミニマムスタンダードにするよう促します。企業にとっては、処遇改善による人材流入が期待できるというメリットがあります。

生産性向上に対する取り組み

i-Constructionを中心としたICTの活用によって、建設業の生産性向上を進める取り組みです。公共工事の積算基準等を改善、申請手続きの電子化を推進するなどの取り組みで、企業のICT導入を促します。また、減少する技術者を適切に活用するため、技術者配置要件の合理化を検討するなどして、人材や資材を有効活用する仕組みの浸透も推進。建設業の企業にとっては、今後さらに進む人材不足への対策がとれるというメリットがあります。

i-Constructionについて詳しくはこちら

建設業界に人材を呼ぶi-Constructionとは?│働き方改革ラボ

建設業界の働き方改革の一部は猶予期間がある

長時間労働や人材不足の課題から、建設業界でも働き方改革が急がれる一方、建設業に対しては、働き方改革関連法で定められている時間外労働の上限規制の適用に猶予があります。

建設業の適用開始は2024年4月1日以降

働き方改革関連法の時間外労働の上限規制は、大企業では2019年4月から、中小企業でも2020年4月から始まっています。その一方で建設業に対しては猶予期間が設定。2024年4月1日から適用されます。法律上の時間外労働の上限は、臨時的な特別の事情がなければ、原則月45時間・年360時間以内。違反をすると、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されるおそれがあります。

建設業に猶予期間がある理由

なぜ、建設業界には猶予が定められたのでしょうか。時間外労働の上限規制に関して猶予が認められた業界は、建設事業、自動車運転の業務、医師、鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業(一部猶予)。新技術・新商品等の研究開発業務に関しては適用が除外されています。建設業は、長時間労働の傾向が高く休日出勤が多い現状があるものの、人材不足の中でこれらの問題を早期に解決することが難しいという背景から、猶予が決定しました。

建設業界で働き方改革を実施する際の注意点

では、2024年4月に施行されるまでの間に働き方改革の取り組みを進める上で、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。

発注者・受注者の相互理解と協力が必要

長時間労働の事態を改善するためには、発注者と受注者の相互理解と協力が不可欠です。双方が対等な立場で契約をして、適正な工期設定を行っていくことが重要です。国土交通省は、時間外労働上限規制の猶予期間内においても、受発注者が協力して取り組むべき指針をまとめた「建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン」を策定。契約に関する基本原理や、工期設定の平準化、必要経費のしわ寄せの防止策などをまとめています。

建設業界で働き方改革を実施した企業の事例

株式会社丸西組

石川県小松市で土木・建築の両輪で事業を行う株式会社丸西組では、働き方改革の一環として、情報システムの見直しを実施。さらに、負担が特定の従業員に集中することを防ぐワークシェアを取り入れ、業務時間の短縮を実現しました。また、従業員の健康増進のため、福利厚生によるスポーツジム利用も推進。女性限定の研修・交流を行うほか、女性が自主的に能力を発揮できる場面を用意したことで、社内に活気も生まれています。

みづほ工業株式会社

働きやすいだけでなく、働きがいのある企業づくりを目指す、みづほ工業株式会社。整理・収納・清掃を指す3Sの活動の実施によって作業のムダが減り、労働時間が短縮されました。経費削減、社員同士のコミュニケーションの活性化という効果も生まれています。また、社内の図面や備品などの保管場所を定めて整理する「定位置管理」を徹底。備品の管理をしていた総務担当者の負担が軽減したほか、働きやすい環境が整ったことで、業務の効率化が実現しました。

建設業界の今後

建設業界にとって、時間外労働の上限規制が適用される2024年4月までに労働環境を改善することが急務です。その取り組みが、建設業界が抱えていた「きつい」「汚い」「危険」の3Kのイメージを払拭するきっかけにもなるでしょう。魅力ある業界になれば、人材の確保も期待できます。反対に、労働環境が変わらなければ人材不足はさらに進みます。建設業は社会のインフラを守る意義ある仕事。構造的な課題を解決して、持続的に成長していくべき業界なのです。

まとめ

法律への対応という観点だけでなく、将来の業界全体の維持や成長のためにも建設業界にとって働き方改革は欠かせません。技術や労働力の面で業界を引っ張っている世代が退職する前に、ICT導入による生産性向上や、工期適性化などの取り組みを進める必要があります。若手の人材獲得や、技術継承という長期的な目標を持ちながらも、国土交通省のガイドラインを参考に、労働環境の改善を進めましょう。

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来たる2024年4月までの間に、自社にできる取り組みを1歩ずつ進めてみてはいかがでしょうか。

参考・出典

毎月勤労統計調査 令和元年分結果確報|厚生労働省
第1回配布資料│国土交通省
建設業及び建設工事従事者の現状|国土交通省
「建設業働き方改革加速化プログラム」を策定~官民一体となって建設業の働き方改革を加速~│国土交通省
建設業サポートブック(H30版)│石川県
第4章建設業者の取組事例紹介│石川県

この記事を書いた人

リコージャパン株式会社
リコージャパンは、SDGsを経営の中心に据え、事業活動を通じた社会課題解決を目指しています。
新しい生活様式や働き方に対応したデジタルサービスを提供することで、お客様の経営課題の解決や企業価値の向上に貢献。
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