建築業における人手不足|原因や解決策など詳しく解説

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建築業における人手不足|原因や解決策など詳しく解説

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国内の建築業において、人手不足が長く心配されています。国土交通省による施策も展開されていますが、人手不足を解消するには、自社でも積極的な取り組みを進めることが大切です。

この記事では、建築業の人手不足の原因や解決策について解説します。自社の人手不足の原因究明や解消するための参考として、ぜひ役立ててください。

建築業における人手不足

令和3年7月の建築・土木・測量技術者の有効求人倍率は、5.27倍でした。前年同月は5.00倍であり、わずかに増加しています。建設業は有効求人倍率が高く、求職者が少ないと判断できます。

建築業が含まれる建設業の就業者数は、2017年時点で498万人です。就業者数が最も多かった1997年と比較すると、約27%も減少しています。

建築業の特徴

建築基準法2条1項十三号では、建築業は建築物の新築や増築などを行う業種と定められています。一方、建設業は、建築物に加えて道路やダムなどを作る業種です。建築業は、建設業に含まれる業種のひとつです。

建築業には人手不足につながる特徴もあります。ここでは、建築業の特徴について解説します。

日々勉強が必要

建築物を建てるための施工方法は時代とともに変化しています。常に最新の技術を取り入れるためには、日々の勉強が必要不可欠です。そのため、常に新しい知識を習得し続けることが好きな方に向いている業界と言えるでしょう。

建築業における人手不足の原因

建築業で人手不足が発生している原因は複数あります。ここでは、人手不足の原因について解説します。

就業者に占める若年層の少なさ

国土交通省が公表しているデータによると、平成28年に建築業で働いていた人のうち、29歳以下の割合は約11%でした。建築業は、ほかの業種と比較して若年層が少ない状況です。若年層が建築業から離れている理由としては、建築業につきまとうマイナスイメージや福利厚生の不備などがあげられます

職人の高齢化

同じく国土交通省が公表しているデータによれば、平成28年に建築業で働いていた人のうち、55歳以上の割合は約34%でした。建築業で働く高齢者層の割合は、若年層の約3倍となっています。建築業では退職する高齢者層に対して新しく働き始める若年層が少ないため、人手不足がどんどん進んでいると考えられます。

離職率の高さ

厚生労働省がまとめたデータによれば、平成29年3月に高校を卒業して建設業へ就職した人のうち3年以内の離職率は45.8%です。この結果を踏まえると、高校を卒業して建設業へ就職した人の約半数は3年以内に離職していることがわかります。

離職率を下げるには、業務効率化や完全週休二日制の導入により働きやすい環境を提供する必要があります。

リーマンショックによる建築需要の激減

世界経済に大きな打撃を与えたリーマンショックは、建築業にも影響しています。リーマンショック後は建築物に対する需要も激減し、建築業の仕事が少なくなりました。それにより退職や転職をする職人が増えたといわれています。現在では建築物に対する需要が回復していますが、退職や転職した職人は、そこまで戻ってきていません。

建築需要の拡大

リーマンショックの衝撃が収まった後は、建築業に対する需要が緩やかに拡大しています。また、2011年の東日本大震災からの復興や東京オリンピックの開催に伴い、建築業に対する需要はさらに拡大しました。需要が大幅に増えているため、それまでの人手だけでは業務が回らない状況になっています。

比較的厳しい労働環境

建築業で働くためには体力が必要です。重い資材を運んだり機材を使用したりすることは、他の業種に比べて比較的重労働です。また、同様に比較してみても、建築業は労働時間が長い傾向があります。そのため、建築業は労働環境が厳しいものになりやすく、就職先や転職先として検討されにくい現状があります。人手不足を解消するには、労働環境を改善する必要があります。

人手不足に対する国土交通省の施策

人手不足を解消するには、働き手の満足度を高めなければなりません。国や企業は、そのためにさまざまな取り組みを実施しています。

ここでは国土交通省の「建設業働き方改革加速化プログラム」について解説します。

長時間労働を是正する取組み

建築業を含む建設業界においては、従業員の長時間労働が問題になっています。長時間労働の問題を解消するため、国土交通省は具体的な施策を打ち出しました。国が直轄する工事や公共工事については、週休2日制を原則としています。

また、工期設定の見直しも推進しており、働き手にとって無理のない労働環境の整備に力を入れています。

給与や社会保険加入に関する取組み

建設キャリアアップシステムを設け、技能や経験にふさわしい給与を得られるように工夫しています。資格や就業履歴などを登録できるため、従来よりも給与交渉がしやすくなりました。

また、社会保険への加入も義務付けています。従業員を社会保険に加入させていない企業は、建設業許可の申請や更新が認められないことになりました。

生産性向上を図るための取組み

労働時間の短縮や従業員の負担軽減のため、業務の生産性を向上させる工夫も取り入れています。ICTを活用すれば、建築業においても業務の自動化や簡略化が可能です。図面を電子化したり、現場にカメラを導入して管理したりしています。

また、人材や資器材を効率的に活用できるよう、配置や業務の進め方の見直しも行われるようになりました。

建築業における人手不足の解決策

建築業における人手不足を解決するには、さまざまな方法があります。ここでは、具体的な解決策について解説します。

業界イメージの刷新

国土交通省の調査データから、建築業には仕事が厳しい、雇用条件が悪いなどのイメージがあることが伺えます。それを払拭できれば、若年層の興味を引くきっかけになるでしょう。

国土交通省は「建設業イメージアップ戦略実践プロジェクトチーム(CIU)」を設置し、イメージの改善を目指しています。また、企業のなかには、現場の仮囲いのデザインを工夫してアピールしているところもあります。

余裕をもたせた工期の設定

工期に余裕がないと長時間労働が発生しやすく、従業員にとって大きな負担になります。国土交通省が展開している「働き方改革加速化プログラム」においても、工期に余裕をもたせることが推奨されています。

省工数化工法による労務費の削減を図る

人件費のうち、建築物を建てるための労働力にかかる費用を労務費とよびます。人手不足になると労務費が高騰するので、削減のための工夫が必要です。労務費を削減するには、省工数化工法を導入すると効果的です。待遇改善にもつながります。

省工数化工法としては、プレキャストコンクリート工法や鉄筋先組み工法などさまざまな種類があります。

プレキャストコンクリート工法

プレキャストコンクリート工法は、コンクリートの型枠を取り外さずに建築を進められる工法です。「プレキャスト」は「成形済み」という意味であり、あらかじめ工場で生産します。現場で型枠を解体する必要ないため、工期の短縮につなげられます。

鉄筋先組み工法、鉄筋ジャバラユニット工法

鉄筋先組み工法は、梁や柱などの鉄筋部材を作業スペースで組み立ててから使用する工法です。また、鉄筋ジャバラユニット工法は、鉄筋部材を工場で組み立て、折りたたんだ状態で現場へ搬入する方法です。これらの工法でも工期を短縮できます。

移動式吊り足場

移動式吊り足場は、構造物にラックレールを取り付けて足場を作る方法です。ラックレールを延長するだけで足場を確保できるため、工期短縮につながります。

ラス・鋼製型枠の使用

基礎部分にラス・鋼製型枠を使用し、そのままコンクリートと一体化させる工法もあります。型枠を取り外す必要がない分、少ない労力で作業を進められます。工程の短縮も実現可能です。

現場の生産性を向上させる

建築業の人手不足を解消するには、ITやロボットを活用した工法も積極的に取り入れる必要があります。ITやロボットを活用した工法を導入すれば、現場の負担を大幅に軽減できます。また、生産性の向上につなげることが可能です。

ICT化については以下でさらに詳しく解説するため、あわせて参考にしてください。

建築現場の負担を軽減するためのICT化

建築現場の負担を軽減するには、ICT化も重要です。ここでは、建築現場におけるICT化について解説します。

ICT活用による業務効率化

建築業では、さまざまな部分をICT化できます。建築業でICT化を推進すると、業務効率化も実現可能です。

以下では、建築業でのICT化による業務効率化について、具体的に解説します。

図面や工程画像のクラウド化

図面や工程画像はCD-ROMに保存して共有しているケースも多いです。それらをクラウドで管理すれば、よりスムーズに扱えるようになります。図面や工程画像を共有して確認したい場合も、それぞれがクラウドにアクセスするだけで閲覧可能です。

打ち合わせのオンライン化

従来、建築業の打ち合わせは、現場で行うのが基本でした。しかし、ICTを活用すれば、打ち合わせのオンライン化が可能です。相手の顔や現場の状況もカメラで確認しながら会話でき、遠方の管理者ともスムーズに情報共有できます。

現場監視カメラシステム

現場に監視カメラシステムを導入すれば、管理者が離れた場所にいても現場の状況を確認できます。管理者が常に現場で待機する必要がないため、負担軽減が可能です。複数箇所を短時間でまとめてチェックできます。

BIMツールの導入による工期短縮

BIMツールとは「Building Information Modeling」の略であり、3Dの作図をするためのソフトです。最初の段階でBIMツールを使って建築物のイメージを固めると、工数の削減やミスの防止につながります。

また、BIMツールで作成した図面は、役所へ建築確認申請を行う際にも使用できます。

AI活用による単純作業の高速化

建築業においてもAIを活用すれば、さまざまな作業をスピーディかつ正確に行えます。たとえば、構造設計の単純作業や施工現場の画像認識などについて、AIの活用が可能です。AIはIoTやビッグデータとともに、「国土交通省技術基本計画」において活用が推進されています。

まとめ

建築業では人手不足が大きな課題になっています。人手不足を解消するためには、さまざまな解決策を取り入れる必要があります。自社の状況にあわせて最適な方法を実践しましょう。

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参考・出典

この記事を書いた人

リコージャパン株式会社
リコージャパンは、SDGsを経営の中心に据え、事業活動を通じた社会課題解決を目指しています。
新しい生活様式や働き方に対応したデジタルサービスを提供することで、お客様の経営課題の解決や企業価値の向上に貢献。
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