人間とAIの「協働」のススメ

From: 働き方改革ラボ

2020年12月11日 07:00

この記事に書いてあること

技術革新が進み、実社会でも活用の場面が年々増えているAI。働き方においても「AIで仕事がなくなる」と言われ始めてから数年経過しました。世間一般において、AIというと万能なイメージがあるかもしれませんが、それは誤解です。実際は活用方法によるところが大きく、活用する側の人間がAIの役割を正しく認識していないと、正しく機能しないものなのです。

本記事では、AIと人間の上手な役割分担についてと、それによって働き方改革をどのように効率的に進めていくことができるかを考えていきましょう。

AIとは

AIはArtificial Intelligenceの略で、人工知能と訳されます。一般的には「知的なコンピュータプログラムを作る科学と技術」などと説明されることが多いですが、実は明確な定義はありません。国内の主な研究者はそれぞれさまざまな定義付けをしていますが、共通しているのは、人間のような振る舞い(知的能力の模倣)をするコンピュータシステムであるという点です。

なお、現在AIでできる具体的な能力としては、「画像認識」「音声認識」「自然言語処理」などが挙げられます。

AIの得意なこと、苦手なこと

AIは万能ではなく、得意なことと苦手なことがあります。

まず、AIが得意とすることは、単純作業やビッグデータの記憶、作業の高速化、複数データの共通点を見つけることなどです。例えば、画像認識においては、膨大な画像データから共通している部分を探し、似た特徴を持った画像データを見つけることが可能です。

また、翻訳を例に挙げると、単語を次々に認識して言語を翻訳することはAIの得意分野といえるでしょう。しかし、AIは文章の意味を理解しているわけではなく、文脈を読み解くことは苦手です。また、言葉を発した人の感情や意図を汲み取れないため、倫理観が求められる作業や、合理的でない判断を求められるような作業は得意ではありません。

ほかにも、AIの苦手なこととしてよく挙げられるのが、「まだ学習していないことを実行すること」です。したがって、今までになかったものをつくり出すようなクリエイティブな作業は難しく、判断基準となるデータが少なかったり偏ったりしている場合では、正しく機能しない可能性もあります。

AIの活用と働き方改革

AIが注目されるようになった背景の一つに、少子高齢化が挙げられます。若い労働人口が減少していくなかで、社会経済の活動量を維持および向上させるためには、質の高い労働を実現させる必要があります。AIの積極的な活用は、労働生産性の向上につながり、経済成長を支える基盤になると期待されています。

また、現在の社会は大量生産・大量消費の時代を終え、個別化された製品やサービスの提供を通じて個々のニーズに対応することが求められています。この「個々のニーズ」への対応策として、AIの活用が注目されています。

そして、今後さらなる人口減少による労働者不足を解決するために、AIの活用は必要不可欠なのです。

AI導入時のポイント

AI活用の具体的な事例としては、AI-OCRの導入などが考えられます。AI-OCRとは、AIを用いて文字認識を行うツールで、手書き文字の認識が可能です。これを導入すると、紙の伝票の手入力作業や、入力内容のチェック作業といった業務が自動化され、業務効率の改善が期待できるでしょう。

このAI-OCRは、RPA(Robotic Process Automation)ツールと組み合わせることで、デジタル化の効果がさらに高くなります。RPAとは、総務省によると「これまで人間のみが対応可能と想定されていた作業、もしくはより高度な作業を人間に代わって実施できるルールエンジンやAI、機械学習等を含む認知技術を活用した業務を代行・代替する取り組み」と説明されています。

こうした、AI-OCR やRPAの導入の際に気を付けたいのが、100%の結果を求めないということです。半分できるだけでも効果があるので、『小さく動かして確実に活用する』ということを心がけるとよいかもしれません。

また、AIの苦手分野については、人間で補うことを意識したいもの。イレギュラーへの対応などは、人が補うのがよいでしょう。そして、アナログからデジタルへ変換する際には、現場の社員や関係者とコミュニケーションを図りながら進めることも大切です。

AIの役割と人間の役割

働き方改革でAIを上手に活用するためには、経営者がAIの導入による生産性の向上に取り組むことが重要であり、経営者がAIに関する知識を高める必要があります。まずは、前述のような「AIの得意なこと、苦手なこと」を正しく把握し、それと同時に「人間にしかできない業務」(課題設定や最終的な価値判断など創造性の高い業務)について知っておくことが大切です。

仕事場でのAIの活用方法の一例として、コールセンターを挙げてみましょう。AIが必要な情報をオペレーターに瞬時に提示するといった技術が普及すれば、オペレーターの商品知識を補うことにつながり、その分、対人業務などのインタラクティブな業務に注力できます。

このように、AIと人間とで仕事を奪い合うのではなく、「協働」によって全体的な業務の質を高めることが、今後求められていくでしょう。

AIと人間の「協働」という新しい働き方

AIの技術は日々発展を遂げており、今後もAI活用の幅はさらに広がることが予想されます。万能ではないけれど、有用なシステムであるAIを有効活用するためには、AIの得意とする業務を理解し、人間との「協働」によって全体的な労働生産性の向上を目指すことが重要です。

働き方改革を進めていくなかでも、必要不可欠な要素となっているAI。その際は、決してAIに依存しすぎることなく、AIと人間とで得意分野に応じた役割分担を行い、効率的に進めていくことが大切です。この機会に、自社でのAIの効果的な活用方法について、改めて検討してみてはいかがでしょうか。

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記事執筆

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