アジャイルマネジメントで変化に強い人材を育てよう メリットデメリットも解説

From: 働き方改革ラボ

2022年02月17日 07:00

この記事に書いてあること

テレワークが普及するアフターコロナのマネジメント手法として、「アジャイルマネジメント」が注目されています。リーダーシップを中心とした従来のピラミッド型のマネジメントとは異なり、意思決定を社員に委ねることで、スピーディーな課題解決を目指すスタイルです。

テレワーク時代に知っておきたい新しい手法であるアジャイルマネジメントについて、メリットやデメリット、そして導入するためのポイントを解説します。

アジャイルマネジメントとは?

アジャイルマネジメントとは、社員に権限を分散して仕事を進めるマネジメント手法のこと。日本企業で一般的なピラミッド型組織に対して、アジャイル型組織は、スピーディーに意思決定が行われるため業務効率がよく、変化に臨機応変に対応できる形として注目されています。

「アジャイル」とは、「迅速」「すばやい」という意味で、もともとソフトウェア開発手法を指す用語として使われていました。事前に立てた計画に沿って開発を進める「ウォーターフォール開発」に対して、「アジャイル開発」は、変化に応じて軌道修正を行いながら開発を進める手法です。

変化が激しく、顧客のニーズにスピーディーに応える必要があるビジネスの世界でも、成果につながる柔軟な組織運営の方法としてこの「アジャイルマネジメント」が注目されています。

アジャイルマネジメントの特徴

アジャイルマネジメントの最大の特徴は、社員たちに意思決定を委ねることで、目的に向かってスピーディーに業務を進められることです。管理職が部下を管理し、指示を出すことで仕事を進めるスタイルではなく、社員ひとりひとりが自らの責任のもとで判断をして役割を果たします。そのため、メンバーへの目的意識の明確な共有と、それぞれの役割に対する責任感が必要です。

アジャイル型組織と似たスタイルとして、「ティール組織」や「ホラクラシー組織」という考え方があります。ティール組織とは、社員それぞれが自主性を持って業務に取り組む組織のこと。経営者や管理職がマネジメントをしなくても、目的に向かっていける組織形態です。
また、ホラクラシー組織とは、役職や階級がないフラットな組織を指します。各グループに権限を分散することで、それぞれが能動的に活動し、成果をあげることができる組織です。

アジャイルマネジメントのメリット

すばやい意思決定や業務改善のため権限を分散させるアジャイルマネジメントには、どのようなメリットがあるのでしょうか。

権限を与えて部下のモチベーションを高められる

社員に意思決定や仕事の進め方を委ねるアジャイルマネジメントは、社員の主体性を育て、仕事のやりがいやモチベーションが向上されます。アジャイル型組織では、仕事の目的や、顧客に提供すべき価値を明確にする必要があるため、ビジョンを共有しやすく、会社に対するエンゲージメントも強まります。

自らの役割に対する意識や責任も大きくなるため社員が成長しやすいことも、アジャイルマネジメントのメリットです。

成果や顧客満足につながりやすい

アジャイルマネジメントは、質の高い顧客サービスにもつながります。メンバーひとりひとりが明確な目標に向かって、業務を改善しながら仕事を進めるため、高い成果や、顧客満足度の向上が見込めます。プロジェクトの途中で思わぬ事態が生じても各担当者の判断で柔軟に軌道修正ができるため、トラブルやクレームにつながりにくいというメリットもあります。

生産性の向上が見込める

アジャイル型組織では、決められた方法で仕事を進めるのではなく、よりよい形を目指して社員が自ら改善を繰り返します。変化やトラブルから学びながら、スピーディーなサイクルで業務改善が行えるため、仕事の生産性が向上します。社員のモチベーションや能力の向上も、組織活性化を実現します。

アジャイルマネジメントのデメリット

では、アジャイルマネジメントを行う上で、注意すべきことはあるのでしょうか。デメリットや、気を付けたい主なポイントは次のとおりです。

若手社員の教育がしづらい

ひとりひとりの社員に判断が求められるアジャイルマネジメントでは、経験の浅いメンバーが活躍しにくいというデメリットがあります。管理職が部下に指示するピラミッド型組織に比べて、新入社員や、実務経験が浅い社員のOJTや教育がしにくいという点にも注意しましょう。社員教育のため、アジャイル型で働くチームを支援する「アジャイルコーチ」を活用する会社もあります。

社員の自律性が求められる

権限が分散されるアジャイルマネジメントでは、社員の主体性が重要です。管理職の指示がないと動けないなど、メンバーの自律性がない環境では成果が出にくいという点にも注意が必要です。アジャイルマネジメントを安定させるには、組織やチームの目標を明確に共有できる強いリーダーシップが求められます。また、意思決定ができる経験豊富な人材の採用が必要なケースもあります。

メンバーやタスクのマネジメントが複雑化

アジャイルマネジメントにおいては、社員が自分で判断して仕事を進めていくため、ピラミッド型組織と比べて、チーム内の状況が把握しにくいという課題もあります。仕事の進め方や進捗も社員によって変わるため、リーダーには、複雑化した状況を把握して、必要に応じて調整を行える高いマネジメント能力が求められます。

アジャイルマネジメントを実現するポイント

では、アジャイルマネジメントを成功させるためには何が必要なのでしょうか。主なポイントをお伝えします。

スピーディーに意思を決め行動に移すことを重視

アジャイルマネジメントによる組織運営には、スピーディーな判断が求められます。生産性向上や社員の成長のために、すばやく判断し、行動に移すことを促す風土を作ることが大切です。変化や課題に対して、まずは行動し、そこから軌道修正や学習をしていくという仕事の進め方を浸透させましょう。

チャレンジを活性化させる環境作り

社員の仕事への意欲や自主性を生むために、挑戦や、失敗した後の軌道修正を受け入れる環境を整えることも重要です。独自のやり方でのチャレンジや、主体的な行動を否定することなく、ひとりひとりの意思を大切にする風土が、柔軟に変化に対応して成果を出せる人材を育てます。

個人のスキルを伸ばす人事制度

社員がそれぞれ自分の得意分野を活かして、主体的に仕事に取り組める環境も大切です。社員に均一的な目標を与えるのではなく、それぞれの個性に応じたスキルアップを実現できる目標設定基準や、評価制度を整えましょう。会社の指導計画通りに社員を育成・評価するのではなく、得意分野を活かして主体的に働ける人事制度が必要です。

自分で考えて行動できる人材を育成

上司の許可や指示を待つのではなく、変化に柔軟で、自立的に行動して学べる人材を育成しましょう。経験の範囲内でできる業務を与えるのではなく、やりがいと責任のある仕事を任せることで、社員の自主性が育ちます。若手社員に対しても、仕事の進め方をすべて伝えるのではなく、自分で考えさせる指示の出し方を徹底しましょう。

【まとめ】変化の時代を生き抜くためのマネジメントを取り入れよう

社員が自ら動けるスピード感が、業務効率化につながるアジャイルマネジメント。その考え方は、変化が多い時代の、柔軟な組織運営につながるヒントを与えてくれるでしょう。テレワークが浸透し、社員ひとりひとりの主体性が求められる今こそ、アジャイルマネジメントを取り入れてみてはいかがでしょうか?

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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