準備から事後作業までを電子化。行政手続は効率化できる

From: 働き方改革ラボ

2021年06月25日 07:00

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社会保険の申請や税申告など、中小企業の人事労務担当者にとって大きな負担となっている行政手続き。業務の特性上、書類のやりとりが多く提出先も多岐にわたるため、行政手続きだけは出社しておこなわなければならず、リモートでの作業は難しいと考えられていました。しかし、2020年4月に大企業対象に施行された「電子申請義務化」の法改正から分かるように、中小企業でも行政手続きの電子化は可能です。本記事では、「電子申請義務化」に至った背景から、中小企業で電子申請を導入するメリットなどをご紹介します。

人事・労務担当者は複数の業務を担当している

中小企業の人事・労務担当者の多くは複数の業務を任されていることが多く、その分負担も大きいものとなっています。採用関連の担当業務に加え、勤怠管理や給与計算、社会保険や年末調整など、一年を通してあらゆる手続きをおこなっています。毎月なんらかの手続きが発生するため、オフィスと窓口を往復しているのです。

その中でも時間や労力がかかっているのが行政手続き業務です。業務の特性上、書類の作成は一度では終わらず書類作成に時間がかかり、書類の提出は行政窓口に直接足を運ばなければならず、効率とはほど遠い業務となっているのが現状です。

さらに今後は多様性が求められる社会となり、高年齢の方に対する手続きや育休の取得など、各種の給付手続きの頻度が増え、負担が増大することも想定されます。

またコロナ禍において在宅勤務が導入された会社は多いものの、職種でみると人事・労務担当者は上記のような労務申請・税申請などの行政手続き業務を担っているため、なかなかニューノーマルな働き方が実現されていません。

一部企業の電子申請が義務化。法改正での変化

そんな中、2020年4月1日に「電子申請義務化」が施行されました。これは健康保険や労働保険、雇用保険の書類申請を電子化する仕組みのことで、今まで紙で行われていた手続きが会社や自宅のパソコンから行えるようになりました。これにより行政側も、企業側も業務の効率化を計ることができます。対象となる企業は「資本金の額または出資金の額が1億円を超える法人並びに相互会社、投資法人及び特定目的会社にかかる適用事業所」と定義されています。

今のところ義務化の対象は大企業のみ、対象手続きは一部の社会保険のみですが、今後は中小企業も電子化の対象となったり、対象手続きも拡大する可能性は十分にあります。電子申請には初期費用がかかったり、社内で仕組み化するまでに時間もかかりますので、義務化の対象になる前に今のうちから準備をはじめておくのもよいでしょう。

電子申請によるさまざまなメリット

それでは実際に、電子申請のシステムを取り入れることでどんなメリットがあるのでしょうか。行政手続きをおこなう際の流れである「事前準備」「手続き業務」「事後作業」の3点に分けてメリットを解説していきます。

事前準備におけるメリット

企業ではさまざまな申請書類を扱っていますが、それら一つひとつの申請に必要な書類や手順をまとめている企業は多くありません。そのため従来の業務スタイルでは、申請が必要な社員と人事・労務担当者間でどのような書類や情報が必要なのか、初歩的なやりとりが多く発生しています。

電子申請システムの多くは、システム内に申請書類の一式と、書類の記入例をフォルダでまとめて格納することができます。そのため、申請が必要な社員はフォルダ内を見るだけで申請に必要な書類や記入の仕方などを把握することができます。人事・労務担当者への問い合わせや最低限の回数で済むのです。

手続き業務におけるメリット

紙による申請では、社員に情報をもらい、申請書を完成させた人事・労務担当者は、行政窓口へ赴き手続きや提出をする必要があります。入社・退社をする社員に関する手続き、保険の加入喪失など1年で何度もオフィスと窓口を往復しているため時間がかかり、その間、他の業務には手を付けられない状態も多くなります。

電子申請では、すでに社員から提出されている申請データを参照しデータを入力。そのデータを行政手続きソフトを使い電子申請するだけとなるので、直接窓口に足を運んでいた時間を削減することができます。またコロナ禍で気になる窓口の三密も避けることができ、企業としても感染のリスクを減らすことに繋がります。電子申請の導入は、手続き業務において最もメリットを享受することができるのです。

事後作業におけるメリット

行政手続きの申請書の控えや、決定通知書など、申請書類は雇用の限り保管することが義務付けられています。社会保険であれば実質永年保存、税申告は7年分保存しなければなりません。個人情報が記載されているため厳重な管理と、それらの書類を管理できる場所の確保、そして必要な時に取り出せるよう常に整理しておくのはなかなか大変です。

電子申請ソフトを活用すれば、長期保存が必要な書類や公文書をクラウドでデータ保存することができます。これなら担当者の変更がある場合も引継ぎが簡単ですし、オフィスの引越しなどで書類を紛失してしまうリスクなども減るでしょう。何より過去の申請書類もすぐに探し出すことができ効率的です。

行政手続きの電子化で気を付けたいポイント

人事・労務担当者としてはすぐにでも電子申請を取り入れたいところですが、注意点がいくつかあります。

電子証明書の発行

電子申告や電子申請は、電子政府の窓口でそれぞれ実施します。社会保険であれば「e-Gov」、国税の申告は「e-TAX」、地方税の申告は「eLTAX」とわかれています。それらの電子申請を利用するにあたって、まず電子証明書を取得しなければなりません。電子証明書の発行には発行手数料がかかるのと、利用できる期間も定められているので注意が必要です。また申請内容によっては取得した電子証明書が無効になる場合もありますので、あらかじめ認証局に問い合わせることをおすすめします。

利用環境の確認と準備

またe-Govなどを利用する際、利用環境の確認と準備も必要となってきます。2020年12月現在、対応のOSはWindowsのみとされています。また最新のJavaのインストールや、「信頼済み」サイトの登録、ポップアップブロックの解除などもおこなっておく必要があります。これらの準備をおこなっておかないと、スムーズな手続きがおこなえなくなってしまいます。

電子申請システムの導入

自社のシステムと連携させることで、必要情報の収集から申請データの作成までを自動的におこなってくれる機能がついたシステムもあります。そうしたシステムを利用することで、より効率的な電子申請が可能となりますが、自社で導入済のシステムと連携ができるものかどうかなど、事前に確認する必要があります。複数の商品を取り扱っているITベンダーに相談するもの一つの手です。

行政手続きの電子化で仕事の効率を上げよう

人事・労務担当者の業務は出社しておこなわなくてはならない、書類はすべて手書きでなければならないなど、行政手続きに関して常識とされていたことは今後少しずつ改善されていくでしょう。手続きを電子化することは人事・労務担当者だけでなく、手続きが必要な従業員の負担を軽減することに繋がりますし、印刷や郵送によるコストもなくなるといった企業側のメリットもあります。ニューノーマルな働き方が推奨される今が、従来の業務フローを見直すベストなタイミングです。担当者の負担を減らし、業務を効率化させる行政手続きの電子化を検討してみるのはいかがでしょうか。

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