2021年の働き方改革~アフターコロナ時代の働き方~

From: 働き方改革ラボ

2021年01月07日 07:00

この記事に書いてあること

2020年は、新型コロナウイルスの影響で、社会全体として働き方改革が加速した一年でした。特にテレワーク(リモートワーク)の推進に伴い、さまざまなデジタルツールの導入や勤務形態等の変化がみられた年であったと思います。これを踏まえて、2021年はどのような働き方改革が実施されるのか、海外の状況にも目を向けながら考えていきましょう。

2020年の働き方改革

働き方改革の加速

新型コロナウイルスが流行する以前は、業務のデジタル化を推進している組織と、デジタル化になかなか踏み出せない組織との間にギャップがありました。しかし、感染症の拡大に伴い、社会全体として早急なデジタル化が求められる状況に。一年間を通して、多くの企業がデジタル化への対応に追われたのではないでしょうか。

なかでも注目を浴びたのは、テレワークです。日本だけでなく、世界の多くの企業が、新型コロナウイルス感染予防のためにテレワークを導入しました。この流れは今後も続いていくと考えられており、Facebook社のマーク・ザッカーバーグ氏は、これから5~10年間で、テレワーク(リモートワーク)率を50%にしていくと発表しています。

また、テレワークの影響により、ZoomなどのWeb会議ツールを始め、情報共有ツールや勤怠管理ツールといった「SaaS(Software as a Service)ツール」の需要も増えました。

社員の業務環境の変化

テレワークの影響で社員間のコミュニケーションが減少したため、オンラインのイベントを開催する企業や、オンライン上でCEOから全社員に向けてのメッセージを届ける企業が出てきました。

また、職場環境や勤務形態の変化に伴い、新しいスキルを学ぶ場や生活のサポートなど、福利厚生を見直した企業もあるようです。

2021年の働き方改革

パートタイム・有期雇用労働法

2021年4月から、短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(いわゆる「パートタイム・有期雇用労働法)が中小企業にも適用されます。これは正社員とパート労働者・有期雇用労働者との間で給与や手当等、待遇の差を設けることを禁止するもので、働き方改革における「同一労働同一賃金」の実現に向けた取組です。不合理な待遇差は違法となり、正社員との待遇差の内容や理由等を説明する義務が生じるようになるため、適切な対処が必要となってきます。

人材

コロナ禍で浸透したテレワークの実施に伴い、デジタルツールなどの導入が一気に進みました。こうしたデジタルトランスフォーメーション(DX)を行っていくうえでの障壁に、人材のスキル不足があります。AI、自動化、クラウド、アジャイル開発方法など、専門知識を持った人材の需要が多くなっているのに対し、供給が間に合っていないのが現状です。デジタルトランスフォーメーションには技術の進歩だけでなく、IT人材の確保や従業員のスキル取得に関しても考える必要があり、デジタルへの考え方や学習、企業文化の見直しが必要となります。

セキュリティ

コロナ禍で加速した働き方改革の影響により、新しいデジタルツールの導入が加速しています。それに伴い、ITポリシーの変更や社員のITリテラシーの向上が求められてきています。もしこうした対策を怠ると、サイバー攻撃や個人のSNSなどを通じた情報漏えいなどの問題が生じる可能性も考えられるでしょう。2020年は、急激な働き方改革の加速により、個人デバイスやアプリケーションの使用を余儀なくされているケースがあるため、セキュリティの脆弱性に対する危機感が高まっています。SaaSツールの採用にもセキュリティ対策を考慮していく必要があり、テレワークに対応したITセキュリティの強化が急務となるでしょう。

福利厚生

従業員の生産性やパフォーマンスレベルは、健康状態などと相関関係があります。従業員は生活の大半を業務時間に充てるため、健康は、その職場環境や職場文化に大きく影響されるものです。また、環境が変化することで、福利厚生も見直しが必要となったり、新たな福利厚生を求められたりすることもあるでしょう。

2020年は勤務形態の変化が著しい年でした。2021年は、「新しい生活様式」に沿った福利厚生について、改めて検討していく必要がありそうです。

2021年の海外の働き方改革

アメリカ

アメリカのテレワーク導入率は、2015年の時点で85%となっており、他の海外企業と比較しても圧倒的に高い水準です。

アメリカでは、1990年代初頭から在宅勤務を中心としたテレワーク導入の動きがありました。2010年に「テレワーク強化法」が制定され、国を挙げてテレワークの普及を推進しています。2010年代には、大手IT企業の一部でテレワークの積極的な導入を避ける動きもありましたが、今回の新型コロナウイルス感染拡大を受け、多くの企業がテレワークを推奨。アメリカの調査企業Gallupが2020年7月30日~8月12日に実施した調査によると、在宅勤務を行ったアメリカの労働者は全従業員の49%に上るといいます。前年度(42%)比はわずかな上昇ですが、在宅勤務の平均日数は前年の秋と比較して2倍以上増加し、一月あたり5.8日となっています。

コロナ禍においては、テレワークが危機管理対策としても有効だという認識が広まり、今後もテレワークを継続して推進する動きが広がっています。先述のFacebook社やTwitter社は、今後もテレワークを引き続き実施していくと発表しており、2021年はテレワークを含んだ働き方が、ニューノーマルとしてより広く定着すると考えられます。

ドイツ

ドイツは、残業規制が厳しく有給休暇取得も多い国ですが、時間あたりの労働生産性が高く、効率重視の働き方をしています。そのため「労働先進国」とも呼ばれていますが、意外にもテレワークへの関心は低く、コロナ禍前のテレワーク導入率は2010年の時点で21.9%と、他の欧州先進国より低いものでした。しかし、新型コロナの影響でテレワークが増加し、7~8月には国内の労働者の36%が在宅勤務を実施。これを受けて、10月には労働相から、年24日の在宅勤務を要求する権利を法制化する提案がなされました。この「在宅勤務権」は欧州の一部ですでに認められているものですが、2021年は、コロナ禍で浸透した在宅勤務が定着し、より柔軟な働き方を実現していくのではないでしょうか。

2021年、アフターコロナ時代の働き方改革へ

2020年は、働き方改革になかなか踏み切れなかった企業にとって、転機の一年になったかもしれません。世界的に見ても、テレワークの恒久化や法制化が進む傾向にあり、日本でも「新しい生活様式」に沿った働き方が定着していくでしょう。しかし、テレワークに伴うSaaSツールなど、十分な精査が出来ないままに導入されたツールやシステムも多いのではないでしょうか。課題を持ったまま採用せざるを得なかった企業では、今でも引き続き課題解決に向けて取り組みを進めているかもしれません。

2021年は著しい環境の変化が落ち着き、放置していた課題が浮き彫りになってくることも想像できます。今年は、2020年までに行ってきた働き方改革についてじっくりと精査し、よりよい方向に修正しながら定着させていきたいものですね。

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

「働き方改革ラボ」は、”働き方改革”が他人ゴトから自分ゴトになるきっかけ『!』を発信するメディアサイトです。
「働き方改革って、こうだったんだ!」「こんな働き方、いいかも!」
そんなきっかけ『!』になるコンテンツを提供してまいります。新着情報はFacebookにてお知らせいたします。

記事タイトルとURLをコピーしました!

https://www.ricoh.co.jp/magazines/workstyle/column/2021-workstyle/

業種別で探す

テーマ別で探す

お問い合わせ

働き方改革ラボに関連するご質問・お問い合わせは
こちらから受け付けています。お気軽にご相談ください。

お問い合わせ