2020年の働き方はどう変わる?主要トピックを解説

From: 働き方改革ラボ

2020年01月07日 07:00

この記事に書いてあること

民間企業だけでなく政府による取り組みも進み、「働き方改革」という言葉が様々な場面で話題にあがった2019年。そんな1年が終わり、いよいよ2020年がスタートします!今年は、どんなトピックが世の中を賑わせるのでしょうか。2020年に予定されている主な法改正や、ワークスタイルの分野で起こる動きなど、話題を集めそうなトピックを一挙にご紹介します。

中小企業にも時間外労働上限規制が適用

2020年4月から、働き方改革関連法の時間外労働規制のルールが中小企業に対しても適用されます。中小企業の定義とは、以下の通りです。

2019年4月より前は、月45時間、年間360時間という限度基準告示はあったものの法律による拘束力がなく、使用者は従業員に上限なく残業を行わせることが可能でした。2019年4月に罰則付きの上限規制がスタートしましたが、中小企業は、1年間の猶予を与えられました。

2020年4月からは中小企業も、臨時的な事情がなければ、残業時間が月45時間、年間360時間を超えることはできません。また、繁忙期などの特別な事情がある場合も、単月で100時間(休日労働含む)、複数月で平均80時間(休日労働含む)、年に720時間未満を超えることは禁止されます。

違反した企業には、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられます。2020年4月に向けて、中小企業でも正確な労働時間の管理や、時間外労働を減らすための生産性向上の取り組みが必須です。

同一労働・同一賃金がスタート

2020年4月から、短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム・有期雇用労働法)が施行。同じ仕事をする人は同じ賃金を受け取る「同一労働同一賃金」を規定する法律が整備されます。

同じ企業内で、正社員と非正規雇用社員の間で不合理な賃金差を設けることは禁止。正社員と同じ業務内容や配置変更の範囲で働く非正規雇用社員は、同じ待遇を受ける必要があります。「アルバイトだから」「将来的に期待する役割が違うから」などの主観的な理由で差をつけることは認められません。

また、企業に対しては非正規雇用社員から説明を求められた際、正社員との待遇差の理由を明らかにしなければならないという義務も。なおこの制度は、中小企業に対しては1年の猶予が設けられ、2021年4月から適用されます。

非正規雇用で働く従業員を抱える企業は、法律の施行に向けて、待遇差の確認やその理由の明確化を行い、客観的に説明ができない賃金差がある場合は、改善を進める必要があります。

いよいよ開催!テレワーク・デイズ2020

2017年から、2020年の夏を見越して政府主導で始まったテレワーク・デイズ。2020年はいよいよ「テレワーク・デイズ2020」が開催されます。

テレワーク・デイズ2019は、これまでで最長の2019年7月22日(月)~9月6日(金)の約1ヵ月開催。過去最大の2887団体、合計68万人が参加しました。東京23区全体で通勤者が1日あたり約26.8万人(-9.2%)減るなどの混雑緩和や、多様なワークスタイルの浸透、参加団体の生産性向上などの成果があがりました。

テレワーク・デイズ2020の開催日数などの詳細は今後発表予定。政府はテレワーク・デイズ2019の実施報告会で、2020年に向けて、テレワークを行うためのインフラ整備などの早期準備の働きかけ、また先進事例の紹介などで、さらにテレワーク浸透を進めると発表しています。

アウトソーシング市場の拡大

2020年は、アウトソーシングの市場がさらに拡大すると予想されます。矢野経済研究所の2018年12月の発表によると、2018年度のIT系BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)規模は、前年度比103.2%の2兆4,478億円(見込み)。非IT系BPO市場規模は、前年度比101.4%の1兆7,274億円(見込み)でした。

サービス別の分析によると、企業が扱うデータ量が年々増加してサーバーをデータセンターに預ける企業が増えていることなどから、IT系アウトソーシング市場が安定的に拡大。またIT分野以外でも、人材不足により、外部リソースを活用する企業が増加。また、採用に注力する企業が増えたことから近年は特に採用関連業務のアウトソーシングが普及し、今後もさらに拡大する見込みです。2020年度には、IT系BPO市場が2兆5,912億円、非IT系BPOは1兆7,669億円に達すると予測されています。

シニア活躍、外国人材活用が加速

人材不足が続き、シニアや外国人材などを活用する動きが活発化しています。政府は、「65歳以上への定年引上げ」「定年の定めの廃止」「希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用制度の導入」のいずれかを実施した企業へ助成金や、50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用に変更した事業主への助成金などを整備。積極的にシニアを活用する企業を支援しています。労働意欲があるシニア層も多く、2020年もさらに活用が広がることが期待されます。

また、2019年4月には改正出入国管理法が施行。福祉や建設業界など人材不足が進む分野を対象に、特定技能の1号の在留資格が新設されました。政府は、2019年からの5年間で最大34万5000人の受入拡大を見込んでいます。法務省が発表したデータによると、2019年6月時点の在留外国人の数は282万人。2017年6月の247万人、2018年6月の264万人と比べても大きく増加しており、2020年もさらに増えることが見込まれます。

地方創生への動きが活発化

2019年、政府は2020年度から2024年度に地方創生を進める施策をさらに強化することを発表。2019年度までは、情報や財政、人材面で地方への支援を行い、雇用創出や若い世代の移住を促進。2020年度は、地方の経済発展と仕事の創出、人材育成、地方への人の流れ、高齢者、障がい者、外国人が共生するまちづくりなどを強化すると発表しています。

民間企業も、地域をベースにしたビジネスを展開。観光産業との連携や地方の仕事創出、また地域の課題解決をテーマにした講座の実施など、地方創生への取り組みを活発に行っています。2020年もさらに、地域に根差した働き方の浸透や、地方発のビジネス活性化が期待されています。

オフィスのスタイルも多様化

テレワークやフレックス制など、さまざまな働き方を選べるようになったと同時に、オフィスのあり方も多様化。席を固定しないフリーアドレスだけでなく、社内に各種ワーキングスペースを設けて仕事内容に合わせて働く場所を選べるABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)を取り入れる企業も増えています。そのほか、作業に集中するエリアとリラックスできるスペースを設ける、コミュニケーションを活性化するミーティングスペースを充実させるなど、仕事の生産性を上げるオフィス作りに注目が集まっています。オフィス設計のコンサルティングを手がけるサービスも広がり、2020年はさらにオフィスの合理化が進むでしょう。

また、企業のテレワーク推進や、社外での仕事を可能にするICT技術の進化によりシェアオフィスも普及。生産性向上や労働時間の適性化のため、社員が利用できるシェアオフィスと契約する企業も増えています。JLL(ジョーンズ ラング ラサール)の調査によると、東京都心 5 区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)のシェアオフィスの貸床面積は年々増加。2018年は前年比で約48%増加するなど、市場が急速に拡大しています。外資系企業や日本の大手企業もシェアオフィス市場に参入していて、今後はさらにシェアオフィスの増加や多様化が見込まれます。

2020年は働き方改革を大きく前進させる1年に

働き方改革関連法が施行された2019年は、政府や民間の取り組みが活性化した1年でした。これまでにないチャレンジを通じて、新たに働き方に関する課題も見えたという企業もあるのではないでしょうか。激動の1年を経た2020年は、これまでの取り組みの成果や反応から得た学びを、次のステップに行かせる年。これから話題になりそうなトピックにいち早く注目して対策を進め、自社の働き方改革をぐっと前進させましょう!

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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