2020年4月から中小企業の働き方に変化。その対応は?

From: 働き方改革ラボ

2020年03月26日 07:00

この記事に書いてあること

2019年に働き方関連法が施行され、約1年が経ちました。2020年は、働き方改革の対応がより一層加速するなかで、関連するいくつかの法案の施行も予定されています。

今回は、2020年4月から、中小企業をとりまく環境がどのように変化するかをみていきましょう。

中小企業にも「時間外労働の上限規制」適用

昨年4月、働き方改革関連法に基づき、大企業を対象に時間外労働の上限規制が導入されました。大企業の働き方改革が本格的に指導すると、下請けとなる中小企業に、納期の短縮や休日出勤、時間外労働などの“しわ寄せ”が生じ、問題となることも。大企業だけに適用されていたこの時間外労働の上限規制ですが、いよいよ2020年4月、中小企業にも適用されます。これにより、中小企業の労務管理において大きなトピックスとなるのが「36(サブロク)協定」と「残業時間の上限規制」でしょう。

(参考:11月は働き方改革「しわ寄せ防止キャンペーン月間」!その内容と狙いとは?|働き方改革ラボ

「36協定」とは、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超える時間外労働及び休日勤務などが発生する場合、労使間で書面による協定を結び労働基準監督署に届け出ることが義務付けられるという法律。労働基準法第36条により定められることから、こう呼ばれています。

今までは、届け出さえしていれば事実上その時間に上限はありませんでしたが、今後は、年720時間、複数月平均80時間、月100時間未満といった上限が設けられることに。この上限を超えると「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」が課せられるようになります。繁忙期などの特別な事情も考慮されず、より厳密な労働時間の管理が求められる「36協定」。企業は、今まで以上に生産性の向上を検討し、短時間で効率的に働く方法を検討する必要があるでしょう。

テレワークの普及

昨今話題の「テレワーク」という働き方。東日本大震災や、最近の新型ウイルス対応を機に、BCP(事業継続計画)対策の観点でもますます関心が高まる働き方です。

テレワーク(telework)とは、「tele = 離れたところ」と「work = 働く」を組み合わせた言葉で、「ICT(情報通信技術)を活用した、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方」のこと。多様なワークスタイルの浸透を目指し、夏季期間にテレワークを推奨する国民運動「テレワーク・デイズ」が2017年より毎年実施されています。

2019年の「テレワーク・デイズ」には約2,900団体の約68万人が参加。参加企業の大部分が中小企業で占められています。会期の1か月間だけでも、都心部の混雑緩和はもちろん、オフィスの消費電力削減や事務用品代の削減、残業時間の削減といったコストカットや、業務効率の向上、従業員の満足度向上といった多くのメリットが実証されてきました。今や当たり前の働き方の選択肢の一つとなりつつあるテレワーク。2020年、中小企業も引き続き注目していく必要がありそうです。

「未払賃金請求権」の消滅時効の延長

2020年4月より、民法で定められていた「未払い賃金請求権」の消滅時効が延長されることになりました。未払い賃金は、支払い期限を過ぎてしまうと「遅延利息」や「遅延損害金」が加算されます。現在は2年の時効ですが、将来的には5年への変更を目指し、経過措置として当面は3年とされます。企業には、未払い残業代を請求されるリスクが生じたり、遅延による利息や損害金が生じたりする可能性があることに、十分留意しなければなりません。

労働時間制の運用の誤認や、勤怠管理の不徹底など、企業が意図せぬところで生じる可能性もある賃金支払いの管理。未払賃金を発生させないために、従業員一人ひとりの勤務体系の再確認や勤怠管理方法の見直しなどの対策が求められるでしょう。

未払い賃金を防ぐために企業が確認しておきたいことの一つに、従業員の厳正な労働時間管理が挙げられます。とはいえ、従業員一人ひとりの勤務制度に則り、休日労働を含めた労働時間を徹底的に管理するということはなかなか煩雑なもの。さらに複数月にわたる平均時間の上限管理までをすべて手作業で行うということは、非現実的といえるでしょう。

ここで取り入れたいのが、勤怠管理システムです。導入時の初期費用に対しては、中小企業に向けた助成金なども整備されているので、必要に応じて申請するのも一つの手。システムを活用し、正確かつ負担がなく実務が継続できる仕組みを作りたいものですね。

まとめ

政府が推し進める「働き方改革」です。労働者のにとっても大きな影響があります。大企業も中小企業も、今こそ時代に合った働き方を模索し、その実現に向けて取り組みを加速していきたいものですね。

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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