2019年の働き方改革トピック総まとめ

From: 働き方改革ラボ

2019年12月25日 07:00

この記事に書いてあること

働き方改革関連法がいよいよ施行されるなど、労働をめぐる環境が変わり世の中が大きく動いた2019年。この1年、あなたの周りではどんな変化がありましたか?今回は、1年の締めくくりに、2019年に特に注目された働き方に関するニュースや、話題を集めたトピックについて一挙に振り返ります!

働き方改革関連法がいよいよ施行

2019年4月1日より、主に大企業を対象に、働き方改革関連法が施行されました。その中でも企業に勤める人と関係が深く、注目を集めたのが、初の時間外労働の上限規制です。

2019年3月までに定められていたのは、月45時間、年間360時間という上限を基準とした行政指導のみ。2019年4月からは大企業を対象に、法律でこの上限を超えてはいけないと規定されました。また、繁忙期などの特別な事情がある場合でも、単月で100時間(休日労働含む)、複数月で平均80時間(休日労働含む)、年に720時間未満という上限を設定。企業では、法改正の影響を受けて残業削減が進められましたが、現場では、残業代を生活費として計算していた人の収入が減ってしまうことや、退社後の時間の使い方に悩んでしまうなどの問題も発生。仕事量が減らないのに無理やり退社させられて持ち帰り仕事が発生するなど、「時短ハラスメント」を受けるという事態も生まれました。

年次有給休暇取得の義務化も、大きなトピックのひとつ。労働基準法の改正で、使用者は、年10日以上の有休が付与されるすべての労働者に年5日の有給休暇を取得させる必要があると定められました。

目前に迫った中小企業の「時間外労働の上限規制」 ~労働時間削減をいかに進めるか~│働き方改革ラボ

働き方改革、進む企業と進まない企業

働き方改革に先進的な企業では、法改正が追い風となった1年。

たとえば、2005年に女性活躍支援、2007年にワーク・ライフ・バランス推進の取り組みをスタートしていた大和証券では、19時前退社を徹底。ほぼすべての社員が18:30には仕事を終了し、仕事外の時間を自己研鑽や資格の勉強にあてる社員が増えたそうです。

また、マイクロソフトは、ITを活用した生産性向上を進め、季節限定の週休3日も導入。業界のトップランナーである企業でも、労働時間の削減を中心とした変革が進んでいます。

一方で、働き方改革の効果を実感していない人も。ビッグローブが、インターネットを利用しスマホを所有する20代~50代の男女1000人を対象に行った「働き方に関する意識調査2019」によると、働き方改革が成功していると考えている人の割合は3割にとどまりました。
(「成功していると思う」(3.4%)、「どちらかというと成功していると思う」(27.6%)、
「どちらかというと成功していないと思う」(36.4%)、「成功していないと思う」(32.6%))
先進的な取り組みを進める組織があるものの、社会全体としてはまだ、働き方が改善されていないと感じる人が多いのが現状です。

テレワーク・リモートワークの普及

2019年は、自宅やサテライトオフィスで、また移動しながら働くテレワークが浸透した1年でした。中小企業だけでなく大手企業も、在宅勤務やコワーキングスペース等での仕事を許可。旅行先で仕事をしたり、メンバーでリゾート地を訪れて会議や仕事を行う「ワーケーション」などの新しいスタイルも知られるようになりました。

ワーケーションとは? 旅行先で働くメリットと注意点を解説 │働き方改革ラボ

また、2017年から国が中心となって進める一斉テレワークの施策「テレワーク・デイズ」が、2019年は7月22日(月)~9月6日(金)に開催。過去最大の2887団体、68万人が参加しました。すでにテレワークを取り入れている企業がさらに多くの社員へ推奨したほか、テレワークをトライアル的に導入した団体も。東京都内の混雑緩和や多様なワークスタイルの浸透、参加団体が生産性向上やコスト削減を実感するなどの成果があがりました。

テレワーク・デイズ2019の成果と課題を解説!│働き方改革ラボ

政府による中小企業支援が活発化

法整備など、中小企業の事業をサポートする国の取り組みが活発化。中小企業の事業継続や災害対応力の向上を支援する「中小企業強靱化法」が成立、7月16日に施行されました。信用保証枠の追加、低利融資、防災・減災設備への税制優遇、補助金の優先採択など、中小企業の事業継続力を強化する措置が盛り込まれています。

また、10月には中小企業庁が中小サービス事業者に適したITツールの普及支援をさらに強化する展望を発表。中小企業が自社に合ったITツールを導入して生産性を向上できるよう、IT導入支援ノウハウを持つコンサルティング会社やIT事業者と議論を重ねて、必要な政策を検討すると発表しています。

政府も進めるSDGsは働き方をこう変える

SDGs(持続可能な開発目標)とは、2015年9月の国連サミットで採択された国際目標。持続可能な世界を実現するための17のゴールと169のターゲットが設定されていますが、その中にも、ICT活用や同一労働同一賃金の達成など、働き方に関わる目標やターゲットも盛り込まれています。

いまさら聞けないSDGs。働き方改革との関係とは?│働き方改革ラボ

政府は、働き方の面でSDGsを実現する取り組みを推進。「SDGs実施指針」の優先すべき課題のひとつとして挙げているのが、「あらゆる人々の活躍推進」です。非正規雇用の待遇改善や長時間労働の是正のため、テレワークの推進や、組織のワーク・ライフ・バランス実現に寄与する講演活動や視察・相談対応の実施を指針に盛り込んでいます。

「なでしこ銘柄」の普及、女性が社会で直面する課題の解消など、女性活躍推進の取り組みにも注力。また、「成長市場の創出」の観点から、中小企業の生産性向上のため設備投資を、固定資産税の減免等の支援措置により拡大すると強調しています。

人材確保の取り組みが多様化

マイナビ転職が2019年に新卒で入社した男女に行った調査によると、全体の1/3以上の新入社員が新卒入社の会社を5年以内で退職する意向があるという結果となりました。

人手不足が進む中、人材確保の取り組みも多様化。新卒採用においては、従来の採用活動に加えて、学生紹介サービスやマッチングサービスなどを活用する企業も増えました。

また、社員に向けた教育も活発化しています。大手企業が、デジタル化に対応できる人材の育成や、工場の自動化で生じた余剰人材の職種転換を進めるためのデジタル技術教育を注力。既存の人的リソースを活用するための「学び直し」が進んでいます。

浸透する?男性の育児休業

女性活躍推進やワーク・ライフ・バランス向上のため、厚生労働省は育児を積極的に行う男性を応援して、男性の仕事と育児の両立を支援する「イクメンプロジェクト」を実施。男性の育休取得や短時間勤務を勧めています。政府は、男性の国家公務員に原則1ヵ月以上の育児休業取得を促すという方針をまとめ、2020年度からの実施を目指すと発表。男性の育休取得が、民間へ波及することを見込んでいます。2019年は、奈良県三宅町の森田浩司町長、時間単位の育休を取得すると発表したことも話題になりました。

災害が続く中で重要視されるBCP

2019年は台風や豪雨などの災害が相次ぎ、企業のBCP対策の必要性が叫ばれました。

企業をもっと強くするBCP策定のススメ│働き方改革ラボ

BCPとは、Business Continuity Plan=事業継続計画の略で、災害時に事業を早期に復旧させて継続するための対策です。NTTデータ経営研究所の2019年の調査によると、5,000人以上の企業で「BCP策定済み」「策定中」と答えた企業は、約9割。多くの大企業でBCP策定が進む中、99人以下の企業で策定を進めているのは約4割でした。中小企業では、まだBCP策定が進んでいないのが現状です。

2019年、可視化された課題を来年につなげよう

2019年は、働き方改革に関する法整備が進んだ1年。テレワークの普及や男性育休取得推進の動きが見えるなど、働く人にとって選択肢が広がった1年でした。ただ、働き方改革の成果が上がっている組織がある一方で、日本全体を見渡すと、課題や不満も可視化されています。今回、ピックアップした話題に関して、あなたの企業はどう対応しましたか?自社の現状を見直して課題ややるべきことを見つけて、2020年の取り組みに活かしましょう!

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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