サクッとまるわかり!「働き方改革」の全貌

From: 働き方改革ラボ

2017年12月06日 06:29

この記事に書いてあること

話題の「働き方改革」って何?

第3次安倍第2次改造内閣の発足とともに、現代諸問題の解決を通して、個々がそれぞれの能力を発揮し、いきいきと輝き続けられる「一億総活躍社会」を実現するとの目標が打ち出され、その肝入り施策として「働き方改革」に向けた取り組みがスタートしました。

"働く"という最も身近な社会活動が対象ということもあり、ビジネスの現場でも、メディアでも、耳にしない日はないほど多用されるキーワードとなった「働き方改革」ですが、カバーする領域が幅広すぎるなど、どこか抽象的で実態がつかみづらく分かりにくさを覚えている方も少なくないのではないでしょうか。そこで今回は、改めてその内容とは何なのか、これから何がどう変わるのか、整理して考えてみます。

まず公式の発表資料を見ると、内閣では働き方改革を大きなチャレンジと位置づけ、

「多様な働き方を可能とするとともに、中間層の厚みを増しつつ、格差の固定化を回避し、成長と分配の好循環を実現する」

出典元: 首相官邸ホームページ「 働き方改革の実現」 より

としています。

また厚生労働省では、

「女性も男性も、高齢者も若者も、障害や難病のある方も、一人ひとりのニーズにあった、納得のいく働き方を実現する」

出典元: (厚生労働省 政策についてより)

ために取り組みを進めていくといいます。

大まかに言えば、表面化する現代的な社会問題とともに、長時間労働や就業形態による待遇格差、限定される就業機会など、これまでの日本に根深くあり続けてきた労働現場の問題について一挙解決・改善を図ろうということになりますが、まだ抽象的ですね。そこで、より具体的にその内容を把握するため、次項で要点を絞りながら詳しく見ていくこととしましょう。

改革が求められる背景

現在の日本では、労働力を主に担う15歳~64歳の生産年齢人口が、少子高齢化の影響から想定以上のペースで減少しています。国立社会保障・人口問題研究所によると、1995年の生産年齢人口は8,000万人超でしたが、それ以降は減少し、2027年には7,000万人、2051年には5,000万人になると予想されているのです。

超高齢社会の到来とあわせて考えると、この労働者人口の深刻な減少傾向は、これまでの生活水準、経済水準を維持できない可能性が高いレベルで進行しており、改革を実行しなければ、豊かな社会を持続可能できない状況にあると言えます。

また、日本は諸外国に比べて労働生産性が低いことも指摘され、OECD加盟国の主要7カ国中最下位、全35カ国中でも22位にとどまっています。先述の通り労働人口の減少も進んでいるため、今後はさらに国全体の生産規模、価値創出が縮小・低迷しかねません。

一方で、変容するニーズや進展を続ける技術、複雑化する業務に価格競争の激化といった要因は、限られた労働者の就労環境を悪化させ、長時間労働をはじめとする過大な負担を強いるものになっています。物流のニーズに対する人手不足や大企業における過労死の問題など、大きな注目を集めた報道は記憶に新しいところです。

こうしたさまざまな問題を抱え、あらゆる市場のグローバル化が進展する中で、日本の国際競争力が低下してきていること、将来さらにランクダウンする懸念があることも大きな問題点として挙げられるでしょう。

このような問題を抱え、従来のビジネス環境や企業文化を見直すことなく放置していては、立ちゆかない状況が多々現れてきているのです。これが「働き方改革」が向かう課題であり、国も一般の人々の視点に立った変革を推し進めようとしている背景になります。

具体的課題と取り組み

こうして着手された「働き方改革」は、主に3本の柱からなっています。

第1は長時間労働の是正です。

休日返上での労働や長時間労働が良しとされる企業文化や意識を変革し、ワークライフバランスの改善を図ります。仕事とプライベートの両立が図りやすくなれば、これまで就労条件を満たしにくかった女性や高齢者も仕事に就きやすくなるでしょう。外で長く働くのが当然とされた男性労働者の育児・家事参加も促進しやすくなり、少子化対策にもなると期待されます。もちろん健康面で、過労死や精神的変調をきたすケースを予防することにもなり、緩慢と時間を消費するのではなく、どう働くかを重視するスタイルへと変更することを通じ、労働生産性も向上させられるなどのメリットが生じてくるでしょう。

第2に正規・非正規といった就労形態での不合理な処遇格差を改善します。

v これには、正当に能力が評価されていないという不満感をなくし、モチベーションを高めることで生産性を上げる狙いがあります。また将来的には、非正規雇用といったくくりをなくし、テレワーク(在宅勤務)やフレックス制度、副業・兼業なども積極的に取り入れて、自由な働き方を選択できるようにしていくとされています。

第3は一括採用、終身雇用といった単線型の日本的なキャリアパスの仕組みにメスを入れることが提唱されました。

転職が不利でマイナスなイメージにとられる環境や企業慣行では、自らのライフステージにあった選択、キャリア形成を図っていくことができません。結果として、適材適所での能力発揮やスキルアップが実現されず、イノベーションも促進されなくなり、付加価値の創出が抑制されて国全体の生産性も下げてしまうこととなるでしょう。そうした状況を変え、意欲のある労働者が、それぞれ魅力のある場へ転職・再就職できる環境を整えるのです。

働き方改革は我々働く人すべてのもの

以上「働き方改革」の概要をつかむことができたでしょうか。深刻な労働力不足の発生を前に、今後さらに表面化してくるであろうさまざまな課題に対して、"働く"という最も基本的な社会活動の視点から抜本的な解決策を探り、実践していく、これが「働き方改革」の全容です。

今後も当メディアでは、「働き方改革」の取り組み実態を明らかにすることなどを通じ、ひとりひとりが自分の生き方を、労働と社会を、考えるきっかけを提供していきますのでどうぞご期待ください。

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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