あなたは大丈夫?デスクワークに潜む危険「VDT症候群」とは - 生産性向上のための基礎知識
2018年03月15日 07:00
この記事に書いてあること
急速に発展してきた情報化に伴い、今や日々の業務に欠かせないパソコンやスマートフォンなどのVDT機器。これらの多用により引き起こされる身体的・精神的症状を「VDT症候群」と呼びます。今回は、身近に潜むVDT症候群について、その原因や対策を考えていきましょう。
実は身近なVDT症候群
VDTとはVisual Display Terminalsの頭文字で、パソコンを始めとするコンピューターの出力装置の一部のこと。こうした機器を使用した作業全般のことを厚生労働省によると、「VDT作業」と呼ぶようです。つまり現代を生きる人々の多くは、少なからず日々VDT作業をしているというわけです。
今や身近な存在となったVDTですが、その急速な普及は私たちの生活を豊かにする一方で、働く環境や労働形態等についても大きな変化をもたらしました。こうしたVDT作業に長時間、長期間携わることで引き起こされる様々な身体的、精神的トラブルを日本予防医学協会によると「VDT症候群」と呼ぶとのこと。
誰にでも発症する可能性のあるこの「VDT症候群」ですが、具体的にどのような症状が見られるのかを次に挙げていきます。
具体的な症状とその原因とは?
VDTの多用により引き起こされる健康への影響がトラブルは、眼や肩・腰回りの疲労から精神へのダメージまで、さまざまなものがあります。
眼の症状
ディスプレイの明暗や作業時の照明に応じて常に明るさやピントを調整し続けている私たちの眼。充血や痛み、眼精疲労はもちろん、かすみ目や物がぼやけて見える、まぶたのけいれん、視力の低下、ドライアイなどの症状がみられることがあります。
眼以外の身体の症状
デスクや椅子の高さ、ディスプレイやキーボードの位置などにより無理な姿勢が続くと、知らず知らずのうちに首や肩のこりが悪化したり、倦怠感、上半身の痛みを引き起こしたりします。慢性的になると手指や全身のしびれなど、より深刻な症状につながることもあります。
心の症状
デジタルディスプレイから発せられるブルーライトは、眼はもちろん、身体や心にまで負担をかけるとも言われています。これにより疲労感やイライラ、抑うつ症状、不眠、無気力状態などの症状がみられることもあります。(出典:ブルーライト研究会)
ガイドラインと快適なオフィス作りのヒント
こうした状況に対応するため、厚生労働省は平成14年に「VDT作業における安全管理ガイドライン」を発行しています。まだ一般的にはあまり知られていないこのガイドラインですが、作業環境管理や作業自体の管理、VDT機器の等の調整、健康管理、労働衛生教育などについて具体的な方法を示しています。ここでは、その中からいくつかポイントを見ていきましょう。
作業環境管理
・室内はできるだけ明暗の差を無くし、まぶしくない環境を整える
・画面は視線が水平より少し下向きになる角度にし、見えずらい状態(グレア)を防止する
作業管理
・他の作業とのローテーションなどを実施し、一日の連続VDT作業時間の短縮を考慮する
・疲労の蓄積を防止するため、個々の作業者の特性を十分に配慮した無理のない適度な業務量を考慮する
調整
・背もたれがあり、深く腰かけられ、高さ調整できる椅子や、自然な姿勢が維持できるデスク、明暗の調整が安易なディスプレイなどを使う
・ディスプレイからは約40cm以上の視距離を確保し、キーボードの位置も調整する
健康管理
・定期健康診断を受診する機会を設ける
・作業者が気軽に健康について相談し適切なアドバイスを受けられるように、健康相談の機会を設ける努力をする
労働衛生教育
・自身で健康を維持管理できるよう、事業者は作業者へVDT作業の健康への影響を始めとする必要な知識を教育する
配慮事項
・高齢者や、障がい等を有する作業者に対し、円滑な作業に必要な対策を講じる
・在宅ワーカーの健康確保のため、ガイドラインの内容を共有する
健康は資本!できることから始めよう
VDT機器の発達により生産性の向上や、より自由な働き方がもたらされた現代社会。一方でそのリスクもしっかり認識し、改善していく取り組みも欠かせません。まだあまり知られていない「VDT症候群」についての知識を深め、日々の作業スタイルを顧みるきっかけにしていくことが大切です。デスクワークの負担を少しでも軽減し、より健康的な毎日を過ごしていきたいものですね。
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記事執筆
働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営)
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