すべての社員が自分らしくあるために~いまトレンドマイクロが積極的に推進している新人事制度とは。

From: 働き方改革ラボ

2018年09月18日 07:00

この記事に書いてあること

多彩なセキュリティ製品・サービスをグローバルに展開するトレンドマイクロ株式会社(以下、トレンドマイクロ)では、2018年7月より新たな人事制度をスタートさせました。今回は、社員の「キャリア形成」「より自由な働き方」の実現に向けて、意欲的な内容を盛り込んだ同社の新人事制度についてご紹介します。

2018年7月より「"Be Yourself"実現のための新人事制度」がスタート

今日では、学校を卒業後、定年までひとつの会社を勤め上げるというケースは減りつつあります。転職はもとより、海外を回って自分を見つめ直したり、大学で学び直したりする人も増えています。

そこでトレンドマイクロでは、社員に多様なキャリアオポチュニティ(経験を積む機会)を提供することで、自律的な成?を促すべく、「"Be Yourself"実現のための新人事制度」を策定しました。このプロジェクトは、経営陣とともに、人事部門が1年以上にわたって議論してきたとのこと。プロジェクトメンバーの一人である、人事総務本部 人事総務グループ グループ長 シニアマネージャーの堀川聡氏にお話を伺いました。

「多様性や人生100年の時代と言われる中、当社でも、ひとつの会社での成長・成功のみを目指すだけで十分なのかという議論があり、今日にふさわしい人事制度を整備していく必要性を感じていました。そこで、さまざまな取り組みを開始したのです」 その第一弾として、2018年7月からは既に以下の4つの制度がスタートしています。

社員一人ひとりが"自分らしさ"を追求できるように

これら新制度の考え方のベースとなっているのが"Be Yourself(自分らしく)"という同社の理念です。この言葉は、創業者で代表取締役会長のスティーブ・チャン氏の座右の銘であり、企業精神として広く社員に浸透しているものです。 「社員一人ひとりが"Be Yourself"を追求できるようにするためにも、企業側で自分らしい働き方ができる環境を用意することが大事です。それぞれの社員に多様なキャリアオポチュニティを提供することで、社員の成長や最高のパフォーマンスを発揮してもらうことにつながり、それが最終的に企業の成長や成功にもつながればよいと考えています」と堀川氏は、説明します。 各制度について、もう少し詳しく見ていくことにしましょう。

社外での活躍を認める - パラレルキャリア(副業許可制度)

パラレルキャリア(副業許可制度)とは、社員の副業を許可し、キャリアの可能性を広げる機会を創出するという制度です。これまでも同社は、セミナー等での講演や本の執筆といった副業については部分的に認めてきましたが、今回その範囲を大きく広げ、業務時間外かつ競合しないビジネスであれば、基本的に認めることにしたのです。 「社内だけでは十分に個人のパッションや能力を発揮できないのであれば、社外の副業で積極的に活躍してもらうのもよいという考え方です。それが自身への刺激となることで、本業にもいい影響を与えるかもしれませんし、副業で築いたネットワークを別のかたちで活用できるかもしれません」

社外での経験を生かす - トランスバウンダリー(社外出向制度)

トランスバウンダリー(社外出向制度)とは、社外の組織へ一時的に出向することで、トレンドマイクロでは得られない経験を積み、それを今後のキャリアに活かしてもらうという制度です。出向先は他業種やベンチャー企業など多岐にわたります。 「とはいえ、希望すれば誰でも出向できるというものではありません。上司との面談を通じてキャリアの途中で何をすべきかを一緒に考え、その際の選択肢のひとつとして社外への出向も検討します。この制度の利用を希望する人には、なぜ自分が社外でチャレンジをしたいのかじっくりと考えてもらい、今後のキャリアプランに活かしてもらいたいと思います」

仲間を再び受け入れる - ウェルカムバック(再入社制度)

ウェルカムバックとは、かつてトレンドマイクロに在籍し、戻りたいと考えている元社員を、再び仲間として迎え入れる制度です。例えばトレンドマイクロでエンジニアとして働いていた社員が、コンサルタントとして活躍したいと考えて退職したとします。その後、元社員がコンサルタントとして培った知識や経験を、トレンドマイクロで活かしたいと考えたときに、復帰する道筋をつけるものです。 「再入社そのものは以前からありましたが、これまでは明文化されていませんでした。そこで、制度として正式に導入することで、そうした機会が用意されていることが社員に伝われば、より多様なチャレンジがしやすくなるのではないかと考えたのです。再入社した社員が、他社で活躍したり、学んできたりした経験を活かすことで、社内にイノベーションを起こすことをトレンドマイクロとしては期待しています」

社員のネクストチャレンジを経済的にサポート - キャリアチャレンジファンド(退職金加算制度)

キャリアチャレンジファンドとは、一定の年齢・在籍年数を満たした社員を対象に、社外でのネクストチャレンジを経済的にサポートする制度です。 「なかには独立こそが"Be Yourself"だと考える社員もいるかもしれません。しかし、お金が原因で次のステップへ進むのを躊躇しているのであれば残念な話ですので、経済的理由だけでチャレンジを諦めてほしくないと考えてこの制度を設けました」

多様なキャリアオポチュニティの提供に向けて

トレンドマイクロでは、「"Be Yourself" 実現のための新人事制度」のスタートにあたり、マヘンドラ・ネギCFO、大三川取締役副社長を含む経営トップ自らが、実施の1カ月ほど前から社員に対し説明会を行ってきました。 「まず管理職に対して制度導入の目的を説明し、各制度を利用したいと考える社員の支援者になってくれるよう伝えました。その上で、全社員向けの説明会を複数回にわたって開きました。その際には、会社側の方針を一方的に伝えるのではなく、座談会形式でざっくばらんに話しながら、社員にも意見を出してもらっています」 取材時点(2018年8月)で新制度の導入から1ヵ月ほどたっていますが、社員の反応は概ね好意的です。"Be Yourself"をはじめとするトレンドマイクロの企業文化や考え方が、社員一人ひとりの中に根付いており、それに即した制度であったことが社員にも受け入れられているのでしょう。今後もさまざまな制度が追加されることになっており、社員からは「自分たちのアイデアや提案も検討してほしい」という積極的な声も上がっているそうです。

選択できるオプションを増やすため、今後もさまざまな制度の導入を検討

トレンドマイクロでは、新人事制度を今後さらに充実させていく方針です。新たな制度についてもいくつか導入を検討していますが、ここでは「FA制度」と「卒業生ネットワーク」についてご紹介しましょう。 まず「FA制度」は、10年以上前からトレンドマイクロにある制度ですが、社内の短期出向などを追加し、キャリアオポチュニティの拡大を目指す制度です。 「社外への求人ではその分野の専門性を重視しますが、社内の希望者に対しては仮に経験がなくとも、他分野での実績や意欲を勘案して判断します。ただ、未経験の分野への異動となると、本人にとって大きなキャリアチェンジとなりますから、そう簡単に決断できるものではありません。そこで、他部門への短期出向というかたちをとることで、社員の不安を解消したいと考えています」 もうひとつの「卒業生ネットワーク」は、トレンドマイクロを離れた元社員を"卒業生"と位置づけ、卒業生組織の運営や交流を公式にサポートすることで、ビジネスでの協業や学び合う関係を作るという制度です。 「退職したら関係はそこで終了、ということにはしたくありません。むしろ、元社員の方々と密につながるようにすることで、会社間の協業やパートナーシップの関係が生まれることを期待しています」 社員の"Be Yourself"実現に向けたトレンドマイクロの取り組みは、これからも進化を続けていきます。

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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