「テレワーク」とは - 今さら聞けない働き方改革基本用語

From: 働き方改革ラボ

2017年11月29日 10:35

この記事に書いてあること

働き方改革の重要なカギとなるテレワーク

少子高齢化が進み、人口構造が大きく変化している現在、労働力の減少をカバーするための働き方改革が求められています。

そこで政府が推進しているのが、テレワークの普及です。テレビなどでも時々、テレワークという言葉を耳にするようになりました。今回は、働き方改革と密接な関係にあるテレワークについて紹介します。

そもそもテレワークとは?

テレワークは、「テレ(tele)」と「ワーク(work)」を組み合わせた造語です。teleとは、「遠く」という意味です。離れた所から会話ができる電話(telephone)、遠くへ映像を届けるテレビ(television)などに"tele"が使われているのは、このためです。

テレワークとは「遠くで働く」といった意味になり、これまでのように職場に通勤して働くのではなく、場所や時間の制約を受けないフレキシブルな働き方のことをいいます。

テレワークは1970年代に、アメリカのロサンゼルスで誕生しました。当初の目的は、マイカー通勤による大気汚染を減らすことでしたが、その後パソコンやインターネットの急速な普及と、女性の職場進出に伴って欧米諸国や日本などから注目が集まるようになりました。

アメリカでは1984年のサンフランシスコ地震や1994年のノースリッジ地震で、多くの企業が業務停止に陥った教訓から、企業戦略としてテレワークの導入が活発化したこともあり、1990年代に入るとごく普通の働き方として定着しました。

日本では2006年に内閣総理大臣に選出された安倍晋三氏が所信表明で、テレワーク人口を増加させると発言したのを皮切りに、政府が積極的にテレワークの普及に取り組んできました。

このためテレワークを導入する企業が増加し、最近ではリモートワークという言葉も出てきました。政府はテレワークという言葉を使用していますが、リモートワークもテレワークと同じ意味です。企業に勤務している社員が、自宅などで仕事をする場合にリモートワークと呼ばれることが多いようです。

このほかにもテレワークの代わりに、「在宅勤務」や「ノマド」といった言葉が使われることもあります。

テレワークの代表的な3つの形態

テレワークという働き方には、大きく分けて3つの働き方があります。

  • 在宅勤務

  • モバイルワーク

  • サテライトオフィス勤務

在宅勤務は、自宅でパソコンなどを利用して、会社と連絡を取りながら働くことをいいます。

モバイルワークは、顧客先に出向いたり、移動中などにモバイルPCやスマートフォンなどのモバイル端末を使って働くことを指します。オフィスなど働く場所に依存することなく、時間・場所に縛られること無く仕事ができることが特徴です。

サテライトオフィス勤務は、勤務地となるオフィス以外の場所でパソコン等を使用して働くことを指します。社内LANと直接つながっているオフィス、一社専用のサテライトオフィス、数社が共有する共同サテライトオフィス、レンタルオフィスなど多種多様で、通勤しやすい場所にあるサテライトオフィスに勤務する働き方です。

テレワークの理想と現実

テレワークには、さまざまなメリットがあります。自宅でも働けるため、妊娠・育児中の人や自宅で介護をしている人、障害者など、これまでオフィスに出社しての勤務が困難とされていた人々でも働けることが、最も大きなメリットといえるでしょう。

通勤に時間をかける必要がないため、家族と過ごす時間やプライベートの時間が増えますから、理想のワークライフバランスが叶えられます。

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また、通勤ストレスがなくなる、自分のペースで仕事が進められる、職場の所在地を考慮せずに好きな場所に住むことができるなど、さまざまなメリットがあります。

しかし実際には、理想と現実のギャップがあり、テレワークのデメリットや課題も指摘されています。

主なデメリットとして、遠隔地でそれぞれが働いているので、会社側が各個人の就業実態を確認しにくいことが挙げられます。

頑張って働いていても、会社側がサボっているのではないかと疑うなど、正当に評価されないケースがあるのです。このため、成果を出すために早朝から深夜まで仕事をする人も少なくありません。しかし、このことを会社は把握できません。その結果、サービス残業が増えているとも指摘されています。

また逆に、働く側がサボるための口実にテレワークを使う可能性もあります。双方の信頼関係を築くためには、企業側がパソコンの使用履歴などから就業時間を管理するなど、テレワークに適したマネージメントシステムを検討する必要があるでしょう。

このほかにも、同じ時間と空間を共有しない働き方であるため、団結力が低下するリスクもあります。特に日本はチームワークを重視するため、テレワークの導入に二の足を踏む企業が多いのが実情です。団結力が低下しないテレワークの在り方を、企業と働き手の双方が考えていかなければいけません。

テレワーク、2つの成功事例

では、テレワークを成功させている企業は、どのように活用しているのでしょうか。厚生労働省が取りまとめた平成28年度テレワーク実証事業「テレワーク活動の好事例集」より、 株式会社日建設計総合研究所と、株式会社リクルートホールディングスで行われている事例を紹介します。

日建設計総合研究所ではテレワーク月間を設けて社員にテレワークを推進するほか、「終日在宅勤務」「半日在宅勤務」「オフィス勤務」「半日有給休暇」の複数の就業形態を選べるようにして、テレワークに参加しやすい環境を整えています。また、希望者全員にモバイルPCやiPhone、iPadも貸与しています。

このような工夫によって、利用者は4割に増加しました。また、グループ会社から出向していた女性従業員が育児と仕事を両立させ、3年後に出向元に戻ったときには管理職に昇進するなど成果を上げています。

日建設計総合研究所は、上記のようなテレワーク制度の導入が高く評価され、東京都の「平成27年度東京ワークライフバランス認定企業」に選ばれました。

リクルートホールディングスでは、テレワークの対象者を派遣社員を含む全社員とし、期限の上限日数も設定していません。都内に約35拠点のサテライトオフィスを設け、モバイルPCや携帯電話など、セキュリティ対策が施されたツールを支給しています。

このように、通常のオフィス勤務と同じ感覚で仕事ができる環境を作り、テレワークで生じる弊害を防ぐ取り組みを実行することで、大きな成果を上げています。

リクルートホールディングや日建設計総合研究所のように、全社を挙げての環境づくりが、テレワーク成功のカギといえるのではないでしょうか。

テレワークを活用して働き方革命を

IT技術は躍進的に進んでおり、インターネットを活用したテレワーク導入の追い風になっています。

現状、課題も指摘されていますが、効果的な導入方法が見つかれば、職場の環境が大きく改善される可能性があります。

今後も働き方改革ラボでは、テレワーク活用のヒントをお届けしてまいります。

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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