裁量労働制とは何か? ー 今さら聞けない働き方改革基本用語

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「裁量労働制」とは、生産年齢人口の減少や働き方の多様化など、今の日本社会の抱える問題解決のために政府が取り組む「働き方改革」に関連する用語の一つです。昨今よく耳にする言葉ですが、その意味を何となくは分かっていても、自信を持って説明できる!という人は意外に少ないのではないでしょうか。今回は、この「裁量労働制」について理解を深めていきましょう。

裁量労働制とは?

「裁量労働制」とは、実際に稼働した勤務時間ではなく、労働者と使用者のあいだで契約した時間を「労働時間」とみなす制度のこと。導入が認められる業務内容には制限があり、"成果が勤務時間と直結しないような中長期的な仕事をする職種や業務 "(後述参照)に対してその適用が認められています。

この制度の問題点として挙げられるのが、業務内容のボリュームに関係なく、いくら働いても一定額の給与であること。労働の時間管理が徹底的に行われない場合、見えない時間外労働の増加が懸念されます。

裁量労働制の種類

厚生労働省の定める「裁量労働制」には、「専門業務型裁量労働制」と「企画業務型裁量労働制」の2種類があります。それぞれの仕組みや内容について詳しく見ていきましょう。

専門業務型裁量労働制

厚生労働省が定めた19種の業務(弁護士、研究職、デザイナー、編集者など)において、労働者と使用者間で決定した時間働いたものとみなす制度です。(労働基準法第38条の3)

専門的な知識や技術を必要とする業種が対象となり、実際の労働時間の総計ではなく、その労働に対する成果と質の観点から評価されるのがポイントです。勤務時間に制約されず、自分で計画を立てて仕事を進められる一方、「みなし時間」で労働時間が計算されるため残業代が支給されないのが基本です。(ただし、例外として深夜に行った業務の支払いは生じる場合も)

企画業務型裁量労働制

事業や企業の運営に関わるような企画、立案及び調査、分析の業務に携わる労働者に適用される制度です。(労働基準法第8の4)

労働者の能力を活かすこともでき、自ら仕事の進め方や時間配分を工夫しようという動機づけになります。この制度については、労使委員会の決議で80%以上の多数決による承認とともに、対象労働者本人の同意が必要です。

フレックスタイム制との違い

出退勤時間の融通が利くという点で『裁量労働制』と混同されやすい「フレックスタイム制」ですが、これら2つは全く別の制度です。

フレックスタイム制」は、1か月以内の一定期間における総労働時間をあらかじめ定めているため、それを超えて働くと「時間外労働」となり、残業代が発生します。一方、『裁量労働制』は、前述の通りみなし時間で総労働時間が計算されるため、基本的には「時間外労働」が存在しません。

また、「フレックスタイム制」は、一日の労働時間帯の中に必ず勤務すべき時間帯(コアタイム)が設定されることが多く、その前後の時間帯(フレキシブルタイム)における出退勤時間のみ労働者自身が決定できます。勤務時間帯が定められていない『裁量労働制』に比べると、自由度は低い印象です。

さらに、「裁量労働制」の対象は業種や仕事内容に制限がありますが、「フレックスタイム制」は制限がないため、携わる業務が営業事務でも広報でも導入が可能です。

海外との比較

アメリカやヨーロッパ諸国などではすでに「裁量労働制」が定着しているといいます。この背景にはワークライフバランスに対する価値観や文化の違いがあるようです。具体的にアメリカとスウェーデンのケースを見ていきましょう。

アメリカのケース

労働者が「企業の利益のために働く」という日本とは違い、「自分のために働く」というスタンスが主流のアメリカ。成果主義の考えも強いため、より良いパフォーマンスのために自らの判断で出勤時間を早めたり、仕事を持ち帰ったりする人もいるようです。目的がはっきりしているので、たとえ残業が続いたとしても「ワークライフバランスが取れている」という充実感を覚える人も少なくありません。

スウェーデンのケース

ワークライフバランスの先進国として世界的にも知られているスウェーデンでは、政府のフォローや企業の直接的な利益になる補助金制度がなくても、多様な勤務形態が取り入れられています。この理由として、企業に対する「労働組合の持つ力」が大きく作用。組合によって長時間労働を排除する運動が長年盛んに行われてきた同国では、今でも残業という概念がないそうです。在宅勤務を認める企業も多く、その際は貸与したパソコンの起動時間から労働者の就労時間を算出するという徹底ぶり。未就学児の子を持つ親は15時退社が当たり前など、労働者の権利がしっかりと守られている印象です。

裁量労働制と働き方改革

「裁量労働制」と一口に言っても、国によってその内容はさまざま。残念ながら日本では未だ裁量労働制に対する評価の方法が定められていないため、働いた時間と賃金のアンマッチが問題になるケースが多発しています。企業側の裁量が強い日本では、一定の賃金で"働かせ放題"の状況が横行しやすく、うつや過労死の誘発も懸念されています。第3次安倍第2次改造内閣の発足時に打ち出された「働き方改革」では、この悪循環から脱すべく、「裁量労働制」が大きな議論を呼んでいるのです。

企業と労働者とが互いに納得することで初めて価値を持つ「裁量労働制」。より働きやすい社会をつくるために、まずはこの制度を理解し、今一度自分の働き方や企業の制度を見つめ直してみてはいかがでしょうか。

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