紙でしかできないこと、紙じゃなくてもできること

From: 働き方改革ラボ

2018年05月24日 07:00

この記事に書いてあること

紙はなくなってしまうのか?

スマートフォンの一般化や、持ち運びしやすいノートパソコン、安価なモニターの普及により、ようやくコスト面でもペーパーレス化が現実的なものとして感じられるようになってきました。 確かに我々の日常から紙は少なくなりつつあります。しかし、このまま紙はなくなってしまうのでしょうか? むやみやたらと紙をなくすことを目的にするのではなく、生活や仕事の便利さを追求するのであれば、必ずしもそうではありません。 本稿では「紙でしかできないこと」「紙じゃなくてもできること」を整理してみたいと思います。

紙でしかできないこと

落書き、アイデアメモ...記録に残して発散させる使い方

思いついたことを自由に、ぱっとかけるのは、紙のノートやメモ帳がまだまだ便利です。 スマートフォンやタブレットでも、ボイスメモや音声認識、スケッチなど随分と便利に使えるようになってきましたが、どうしても形式が制限されたり、カクカクしたりと違和感があります。 鉛筆やペンのなめらかな線や文字で、罫線や形式にとらわれずに思うままにかいて、記録を残せるのは紙の大きなメリット。 形式的な自由度は実はとても大事で、我々の発想やアイデアは、無意識のうちにかきこめる範囲に制限されています。小さな画面では小さな発想しかでませんし、文字しか書けなかったら文字でしか発想が出てきません。 だから、アイデアを広げるときには大きめの紙に自由にかきこめるのがとても大切なのです。

みんなでかくとアイデアが増える

さらに、他の人やチームと議論したりアイデアを発散させるのに、紙は大きな力を発揮します。複数の人が同時にかきこんででみたり、アイデアを出してるノートにかきたしてみたり。 他人の考えていることを瞬時に目で見ることによって、参加メンバーのアイデアや発想を相互に刺激して、一人では思いつかなかった考えを広げることができます。 心理学的に言えば、複数の人が同時に紙やキャンパスに向き合ってかきこむことで、チーム内のコミュニケーション障壁を下げて、ともに対象や課題に取り組むチームメンバーとしての一体感を高める事ができます。 チームビルディングや効率的な会議進捗のためにも、紙の活用は有効です。

手早く簡単に伝える

情報の多くがスマートフォンの画面を通して伝えられる現在でも、ぱっと渡してぱっとみられる紙の伝達能力は非常に強力です。 デバイスを特定してデータを送信したり、URLやQRコードで情報を読み込む手間ががいらず、多くの人に伝えたいことを伝えることができます。 チラシやパンフレットが強力なのはこのためです。街頭やイベントで、何も準備していない相手に対して多くの情報を伝えることができます。 利用の日時場所が限定されるイベントや広告において、紙による手早く簡単な情報伝達の優位性は、当面ゆらぎそうにありません。

手触りと質感、紙の表現力

スマートフォン、ディスプレイ、VRと、イメージを伝える手段はどんどん高精度に、どんどんきめ細かく大量の情報を伝えられるようになっています。 一方で、紙ならではの手触りや質感、表現力は、他の手段ではできない情報を伝えることができます。 和紙にしたためられた手紙、エンボスやラミネートされた名刺、精緻な装飾がされた本の装丁、印刷加工された写真、手書きや独自のフォントが添えられたパンフレット...等 多くの情報がデジタルに形を問わずに伝えられる世の中だからこそ、紙のみが伝えられる情報は、より「特別」な意味を持つようになっています。

紙じゃなくてもできること

手続き、事務処理

ルールや制度上、手続きや事務処理に紙の書類や書式が指定されている場合がありますが、ほとんどのケースは紙でなくても実現可能です。 歴史上長い時代が、紙が最も安価で便利な、記録を残す手段であったため、紙の書類は根強く使われています。 しかし紙は手続きの手段の一つで、手続きの本質である「早く、安く、改ざんさせず、記録を残す」ことはデジタルのデータを使うほうが優れています。 世の中の手続きや契約、決裁などの情報処理量が増え続ける以上、紙での事務処理は今後も不都合なものになっていくでしょう。

大半の情報記録と共有

これまで紙が最も使われてきたのは情報の記録と共有のためでしたが、大半において紙を使う必要はなくなっています。 情報を残すために資料を会社の机の上に山積みしたり、会議のたびに人数分の大量の印刷を行わなくても、デジタルデータにすることによって、紙よりずっと安価で便利に、記録と共有が可能です。 以前は紙でしか実現することができませんでしたが、他の手段が発達することにより、紙の保存や整理、検索、利用、複製といった難点のほうがより大きなコストとなっているのです。 逆にいえば、紙で情報を共有したり記録を残すのは、特別な意味合いを示すことが多くなっています。

紙はきっとなくならない

ペーパーレス化を考える時は、とにかく紙をなくすことを目的となりがちですが、その本質は「仕事や生活の便利さを追求すること」にあります。 紙がなくなっていくのは、紙以外の手段が普及してより早く、安価で、便利に、使いやすくなった結果、紙が最も便利なものではない場面が増えてきたからです。 しかし紙を使う場面が減った反面、便利さを追求した結果としてやっぱり紙が一番優れている場面が明らかになってきました。 日常や仕事で何気なく行っているその行動、本当に一番便利なのはどんな方法でしょうか?長く親しまれてきた紙は、きっとなくならないでしょう。

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記事執筆

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