残業慣れしている人は要注意?残業を前提とした業務計画の3つのリスクと改善ポイント

From: 働き方改革ラボ

2018年07月17日 07:00

この記事に書いてあること

無意識に立ててしまう残業を前提とした業務計画

IT業界など残業が恒常化している業界では、残業を前提とした業務計画が立てられる場合もあります。

しかし、このような計画はさまざまなリスクを伴うことから、極力避けることが望ましいといえます。

この記事では、残業を前提とした業務計画を立てることのリスクと、改善へのポイントについてご紹介します。

残業を前提とした業務計画のリスク

まず残業を前提とした業務計画を立てるとどのようなリスクがあるのか、代表的なものを解説します。

1. 従業員の健康を害する可能性


長時間に渡る残業が恒常化しているような場合は、従業員の健康に悪影響を及ぼす恐れが高くなります。

厚生労働省によると、以下の通り、長時間労働は特に脳・心臓疾患との関連性が高いと公表しています。

  • 時間外労働が月45時間を超えると、労働時間が長くなるに従い脳・心臓疾患のリスクが高まる

  • 時間外労働が月100時間、または2ヶ月~6ヶ月間の平均が80時間を超えると、長時間労働を原因とした脳・心臓疾患のリスクが高くなる

このため月80時間の残業時間は、しばしば「過労死ライン」と呼ばれることもあります。 業務に対する強い精神的な負荷がかかった結果、うつ病などの精神的な病気や最悪の場合は過労死に結び付く恐れもあり、非常に危険な状態となります。

2. イレギュラーな事態での対応力の低下


日々の業務では、多少なりともイレギュラーな事態が発生する場合が多いでしょう。

このような場合、日々の通常業務を所定労働時間内で終える前提でスケジュールを立てている場合は、イレギュラーな事態が起きても局所的な残業で対処することができます。

しかし業務量や人手不足などの環境によっては、毎日残業を行って通常業務を終えることを前提とした計画を立ててしまう場合もあります。

この場合は、イレギュラーな事態が発生しても対応する余力が十分にある訳ではありません。そのため、スケジュールの遅延や作業品質の低下など、取引先などへ影響を及ぼすリスクも高まります。

3. 人件費の上昇による経営の圧迫


残業を前提とした業務計画を立てた場合、法定休日に社員を働かせた場合や法定労働時間を上回る部分に対しては、以下の通り企業として割増賃金を支払うことが義務化されています。(参考:厚生労働省ホームページ また1ヶ月間の時間外労働が60時間を超えた場合(但し、法定休日に働いた分は除く)は、原則として割増率は50%(22時~5時の部分は75%)となります。(参考:厚生労働省資料) 割増賃金は必ず支払わなければならないものです。このため残業を前提とした業務計画は、割増賃金の分だけ想定以上に人件費が必要となることから、経費の増大に繋がってしまいます。

残業を前提としない業務計画を立てるポイント

ここまで解説した通り、残業を前提とした業務計画を立てることは従業員や経営に悪影響を及ぼすことに繋がることから、可能な限り回避する道を探すことが重要です。 残業を前提としない業務計画を立てるためには、大きく分けて3つのポイントが挙げられます。

1. 業務量の正確な把握


まず通常業務の計画を見直すにあたって基本となることは、正確に業務量を把握することです。

この業務量を正しく把握することにより、追加で業務依頼をされた際に対応が可能か否かを判断することが出来るようになります。

2. 業務の処理能力の向上


主な対策の1つは、業務の処理能力を向上させるものです。

たとえば作業手順を工夫し無駄を省いて、より効率的に業務を遂行するということが挙げられます。人員体制を大きく変える必要がないため、実行するハードルも低く最初の業務改善方法として選ばれることが多いです。

また人員追加などにより、業務に携わる人数を増やす方法もあげられます。即戦力になる人を増やしたり、偏った業務量を分散させることができれば、業務の処理能力向上に繋がります。

3. 業務量そのものの制限


残業を前提としない業務計画を立てる上では、業務量そのものを制限する対策も重要です。

最も効果的な方法は、残業しなければ達成できない量の依頼をそのまま引き受けず、分量や納期の調整を交渉することです。残業量を抑えることを基本とすることにより、イレギュラーな事態が発生しても納期を守り、品質を担保することができるというメリットが生まれます。

また、業務を遂行する上で依頼内容を調整する場合は、以下の観点で引き受ける業務内容を調整することをお勧めします。

  • 残業しなくても仕事を完了できる納期を提示し、スケジュール調整を行う

  • 依頼内容を優先度・緊急度に沿って分類し、より重要度の高いものから着手する

残業を前提としない業務計画は、企業と従業員双方にメリットがある

どれ程事前に準備し計画を行っていても、ビジネスでは想定外の事態が起きるものです。 そのような状況になっても、残業を前提としない計画を立てていれば、速やかに対処することが可能となります。 また残業を前提としない業務計画を立てることにより、従業員への負担も軽減され、人件費の削減にも繋がります。 日々の通常業務を行う計画が残業を前提として組まれていないか、今一度振り返ってみるのはいかがでしょうか。

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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