ノー残業デーは水曜、週1が理想なのか?

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ノー残業デーは本当に嬉しい?

昨今、過労死の事件報道などをきっかけに、長時間労働の問題がクローズアップされているほか、仕事とプライベートの両方における充実化を図るワークライフバランスの最適化で、より豊かに暮らすことができる社会の実現を目指した取り組みの実践など、総合的な"働き方改革"の推進が叫ばれています。

そうした中、長時間労働を是正し、残業を少しでもカットしていくことを目的に、ノー残業デーを導入している企業は多く存在します。しかし、導入したものの実際にはノー残業デーをうまく活用できているケースは少ないともいわれ、形骸化している例もあるといいます。

たしかに、どうしても納期が迫っている、その日のうちに片付けなければならないといった仕事を抱えているタイミングで、ノー残業デーだから一律に帰宅せよと言われても複雑な気持ちになるでしょう。ノー残業デーがあるために成果が上がらない、かえってしわ寄せが来るリスクや二度手間を生じさせる部分があり、実は仕事が増えている気がして効率が悪く不満だと感じている人もいるかもしれません。

本来は喜ばしい制度であるはずのノー残業デーが、なぜうまく機能しないのか、設定の仕方に問題があるのでしょうか。今回はノー残業デーにスポットを当て、曜日や頻度について考えるとともに、より理想的な働き方の実現を目指した方策を探ってみましょう。

ノー残業デーの実態を知る

2016年の10月下旬から11月にかけ、NHKが全国の主要企業100社を対象に実施した聞き取り調査によると、全体の約3分の2にあたる67社がノー残業デーを実施しています。頻度としては、やはり週に1回が42社で最も多く、次いで週に2回が10社、月に1回が5社となっています。

実施においては、定時退社を促す放送を行ったり、ノー残業デーにもかかわらず残業をしている社員がいないか見回りを行って残業ゼロを徹底するといった工夫も行われていました。

実施曜日を複数回答で尋ねた結果では、水曜日が最多の49社、次いで金曜日が14社、月曜日が1社でした。水曜日の設定が突出して多い理由としては、週の真ん中で区切りをつけやすいこと、官公庁がノー残業デーを水曜日にしていることなどが背景にあるものとみられています。

一方で、マイナビが2017年に社会人を対象として実施した、理想のノー残業デーの曜日を尋ねた結果では、金曜日の支持が高く44.2%で最多、水曜日は2位の26.5%でした。月曜日も僅差で22.9%となって、やや企業側の設定とは異なる意識ニーズがあるようです。

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【出典:ノー残業デーは"水曜日"|NHK NEWS WEB

ノー残業デーのメリット

ノー残業デーのメリットは、残業禁止日に限ったものではありません。朝から残業ができないと思っていると、業務時間内に終わるように効率化に努めるため、計画的に仕事を進める力が身につきます。

ノー残業デーの良さは、この「働き方に対する意識改革」にあります。

普段の業務では、自分自身の働き方を見直す機会というのはなかなかありません。ところが、週に1回ノー残業デーを設けることで、自分自身の無駄に気づかされるのです。自然と集中力が培われ、個々の能力も上がるでしょう。毎日のように残業禁止と言われてしまうと、時間が足りずに焦りが生まれるだけですが、週に1回、しかも少し疲れて遊びに出かけたいと思うタイミングの水曜日にノー残業デーがやってくることは、やはり働き方の活性化につながるのです。

ノー残業デーの運用における問題点

ここで少し、ノー残業デーのデメリットについても触れておきましょう。一見、労働者にとっても喜ばしく、生産性の面でも多くのメリットをもたらすようにみえるノー残業デーですが、実施が形骸化し、本来の目的に寄与しない誤った運用に陥ると、デメリットが発生します。

まず、ただその日だけ定時に終了すると定めても、業務への取り組み方に変化がなければ、仕事が先延ばしになってしまうだけで、同じだけの作業量をこなすため、別の日に早朝出勤を行ったり、残業を増やしたりしなければならなくなります。

やり終えられなかった仕事を自宅に持ち帰ったり、外部に持ち出してカフェスペースなどで行ったりすることが常態化すれば、かえって精神的負担を増し過重労働になりやすいばかりか、データの持ち出しによる深刻なセキュリティリスクを生じさせることにもなりかねません。

また、部署間やクライアントとの連携がうまく取れていないと、仕事が予定通りに進まず、進捗状況に遅れ、滞りが発生することにもなり得ます。クライアントのニーズに対する柔軟な対応が行えず、急な依頼に応えられないと信頼を失ってしまう可能性もあるでしょう。

このほか、残業処理にかかる労務管理の観点から、管理職には適用されないようにしている企業も少なくなく、その場合は管理職に負担が集中しすぎる事態を招き、重要な意思決定に悪影響をもたらして企業全体の生産性を落としてしまうことになります。名ばかりの管理職で、変わらず残業を強いられるといった悪質なケースも発生します。

ノー残業デーを設定することで、それ以外の日は残業が当然という空気が生まれて定時に帰りづらくなったり、ノー残業デーの日に飲み会が開催されることが恒例になり、時間的な拘束を受けている状況が変わらなかったりといった問題も報告されています。

もちろんノー残業デーを導入することで、全体の意識改革につながり、長時間労働の防止とモチベーションの向上、空いた時間を活用した自己啓発やリフレッシュ・リラクシングなどによる個々のスキルアップ実現、省エネなどによる経費削減といった、数多くのメリットを享受できたという企業・団体もあります。

省エネに関する電力広域的運営推進機関の報告書によると、2011年の東日本大震災による電力不足を受け、震災前の2010年度から震災後の2015年度までの5年間で、年間の電力需要量10%以上縮小しました。震災を機に個人だけでなく、企業も率先して省エネに取り組む動きが見られ、その一環としてノー残業デーにも取り組む企業も増えているようです。

理想の働き方ができる環境の実現に向けて

ノー残業デーに限ったことではなく、どんな施策・制度も、重要なのは運用の仕方であり、ただ形だけ導入したのでは問題解決につながりません。

残業に関しては、しぶしぶ行わなくてはならないケースがゼロになり、毎日がノー残業デーになること、言葉自体が意味をなさなくなり、設定しなくてもよくなることが理想でしょう。しかし、現実にはなかなかそうはうまくいきません。

ノー残業デーが形骸化し、何らかの問題を生じているならば、やはりトップダウンでの運用の正常化が必要であり、真にメリットとなる制度として、経営戦略の一部と捉え、積極的に推進されることが鍵となります。問題点を上層部に報告して相談し、ルール整備を進めていくところから始めましょう。

固定化されたノー残業デーではなく、社員が自由に残業しない日を決め宣言する「マイ・ノー残業デー」の導入をスタートさせた企業もあります。この制度の運用面をしっかりと整備することで、社員1人1人の自律が促され、自ら考えて計画的かつ積極的に仕事に取り組む風土が生まれたほか、仕事への満足度やモチベーションも向上し、現場ごとの柔軟な対応も可能になってきているといいます。

こうした先進的事例から学び、より良い取り組みが広がっていくことが期待されます。形骸化した制度は誰のためにもなりません。あなたの職場でもぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

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