眠くなる会議を一蹴! 本当に効率的な会議のコツと改善方法
2021年07月13日 07:00
この記事に書いてあること
会議は、参加者で報告や意見交換などを行い、企業や部署、チームでの取り組みの方針を決める大事な時間。しかし、そんな大切な会議に参加しているにも拘らず、途中でなぜか睡魔に襲われてしまったという経験はありませんか?
今回は会議中に眠くなってしまう理由や、有意義な会議を行うための対策を考えていきましょう。
※2019年公開記事を更新しました
日本の会議は非効率だから眠くなる?
会議といえば面倒、長くて退屈、そうしたイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。経営者にとっても、会議の長さや手間の大きさは申告な問題です。
いかに会議を効率よく進めるか、内容と意義のある会議にするかはどの組織でも重要な課題なのです。
しかし日本の会議は時間だけ長くて非効率というイメージも一般的に持たれがちです。特に近年では長時間に及ぶ会議の回数の多さが、働き方改革推進へのボトルネックにもなっていると課題視されることもしばしばあります。例えばカルビー株式会社では、長時間労働を抑制するための組織改革の一貫として、無駄な会議と書類を一掃し、社員を生産的でない作業から解放する改革を進めています。この他にも課題視している企業が多いことが各社が行っている調査やアンケート結果から見られます。
このように日本の会議は非効率と捉えられ、会社の規模に拘らず会議に関する改革を進める事業者が増えて来ています。果たして日本の会議は非効率的なのでしょうか?
日本は会議大国。なんとアメリカの2倍も会議をしていた?
会議の時間が長いというイメージを持たれがちの日本ですが、実際のところ日本の会議は長いのでしょうか?
まず日本の会議の時間を他国と比較するために、アメリカの会議時間の調査結果を見ていきましょう。
2014年にコンサルティング会社であるベイン&カンパニーによって行われた「1回の会議によって起こされる波及効果」という研究によると、アメリカの大企業の週1回定例会議に費やされる従業員の会議時間は合計7,000時間に相当するという結果が出ました。
これは週1回の定例会に実施するために必要な社内会議時間のトータルは7,000時間になるという計算です。もちろん定例会は毎週行う前提となるので、年間の会議時間は33.6万時間に及ぶと結論付けられました。これは8時間労働換算で約166人の従業員の年間労働時間に匹敵します。
この会議時間はあくまで週1回行われる定例会のための社内会議となるので、クライアントやその他ステークスホルダーとの打ち合わせ時間は含まれていません。
次に日本の会議時間を見ていきましょう。
2018年に実施されたパーソル総合研究所と立教大学の中原淳教授の研究によると、日本の社員数が1万人を超える大企業での年間社内会議時間は年間約67万時間になるという結果が出ました。これは8時間労働換算で、約332人分の労働時間に匹敵します。
アメリカの年間の社内会議は33.6万時間(約166人相当の労働時間)でしたので、日本の社内会議は約2倍もの時間と人件費を会議に費やしていることがわかります。
アメリカと比較をしてみても、日本の会議はイメージ通り長時間であることが判明しました。また、あくまでここで算出されている会議時間は社内会議のみを取り扱っているので、クライアントやその他ステークスホルダー向けの打ち合わせ時間やそれに係る会議を合算するとさらに膨大な時間を会議に費やしていることが想像できます。
日本はアメリカと比較しても会議大国であるといえるでしょう。
長時間かつ回数も多い日本の会議。でも約80%が眠ってる?
アメリカの2倍もの時間を費やしている日本の会議ですが、実際のところ日本の会議の生産性はどうなのでしょうか?
Tech Targertジャパンのアンケート調査によると、「会議が長い(無駄な時間が多い)」と答えたビジネスパーソンが69.1%、「会議が多い(無駄な会議が多い)」と答えたビジネスパーソンは54.5%という結果に至りました。
この調査結果を元にすると、日本の社内会議時間約67万時間のうち約46万時間は無駄な会議だと思いつつ参加していることになります。
こうして無駄だと思ってしまう会議を長時間繰り返した結果、訪れるのは睡魔。スリーエムジャパンが行った調査によると、25歳?45歳のビジネスパーソンのうち、「会議中に眠くなった経験がある」と答えた人は全体の77.5%にも及ぶという結果になりました。
そもそもが無駄だと思える会議が続くことによって集中力も途切れている状態なので、会議の途中で眠くなってしまうのは当然の結果といえるかもしれませんね。
生産性が低い非効率な会議が課題視されてきている
無駄だと感じながら参加する会議が長時間続くと猛烈な眠気に襲われ、会議そのものの生産性は著しく低下してしまいます。落ちてしまった生産性は他の業務内容にも悪影響を及ぼします。例えば生産現場では不良品率の悪化や生産ロット数の減少、オフィス内では長引く会議によって残業時間の発生や余暇が減ることによる体調不良、最終的には離職率の悪化にまで繋がりかねません。
つまり生産性が低く非効率的な会議の長時間化は、働き方改革を推進するにあたってのボトルネックの1つとなっているのです。
もちろん長引く会議によって生産効率が悪化することはどの企業も課題として捉えています。Tech Targetジャパンのアンケート調査によると64.9%の会社で「会議の効率化・改善を試みた」と答えました。まだ改善を試みてはいないものの、「非効率な会議」を課題として捉えていると答えた企業も含めるとほぼ100%に近い結果となります。
このアンケート結果を踏まえると、まだアクションにまで至ってはいないケースも含めて、生産性が低く非効率な会議をどの企業も課題視していることがわかります。しかし会議の効率化に取り組んで改善できたと答えた企業は全体の26.7%ほど。実に会議の効率化に乗り出した企業のうち70%ほどの企業は会議の効率化を試みたものの、改善できなかったということになります。
会議の効率化は企業にとって重要な課題であるものの、改善に至るには非常に困難な道のりなのです。
眠くなる会議の原因と対策
生産性が低く非効率的な会議の改善は、働き方改革推進にあたって非常に多くのウェイトを占める施策となります。しかし多くの企業では会議の効率改善に乗り出せておらず、実際に会議の効率改善に乗り出したものの、成功にまで至った企業はまだまだ少数に限られているのが実情です。
ここでは会議中に眠くなり、非効率な会議になってしまう原因とその対策をご紹介します。
重要な会議でも眠くなる理由は?
無駄だと思っている会議が長引くことで眠くなるのは生理現象の一種と考えられるでしょう。しかし自分でも重要だと思っている会議でも眠くなってしまうのは問題ではないでしょうか?重要な会議でも眠くなってしまう理由は3つ考えられます。
①睡眠不足や日頃の疲労の蓄積が原因で眠くなる
まず会議で眠くなる理由として考えられるのが、睡眠不足や日頃の疲労の蓄積です。
OECDが発表した世界の睡眠時間比較によると、日本人の平均睡眠時間は世界ワースト1位の「7時間22分」となり、世界の平均睡眠時間よりも1時間以上も睡眠が少ないことがわかります。
もちろん日本人が短時間睡眠でも元気に過ごせる特殊な体質を持っているわけではないので、日本人のビジネスパーソンは慢性的な睡眠不足による疲労が常に蓄積している状態だと言えます。このように常に少ない睡眠時間で仕事をしている中での会議になるので、重要な会議の最中でも眠くなってしまうのです。
②会議の時間帯が原因で眠くなる
次に会議で眠くなってしまう理由として考えられるのが、会議が行われる時間帯です。
人間の生理現象として日中に眠くなる時間帯は2つあります。
1つは、昼食後の時間帯。お昼に摂った食事はゆっくり時間をかけて胃で消化していきます。内蔵の働きが活性化する際にはリラックス効果のある副交感神経が優位に立つので、自然と眠気が強くなります。
2つ目は、人間の眠気のバイオリズムです。
人間の眠気のバイオリズムは午後2?4時頃、午前2?4時頃にピークを迎えるようにできています。つまり昼食後の2時間に眠くなるのは、人間の生理現象といえるのです。
日中13?16時頃は昼食後の副交感神経の働きと、眠気のバイオリズムによってどうしても眠気が襲ってくる時間帯です。これは人間の生理現象として避けることはできない現象なのです。
③会議への関心のなさが理由で眠くなる
3つ目に会議で眠くなってしまう原因は、会議への関心のなさです。
ITメディアビジネスが行ったアンケート調査によると、「眠くなった会議」では50%の人が「ほとんど発言をしなかった」と答え、「眠くならなった会議」では約90%の人が発言したと答えました。
このアンケート結果によると、眠くなる会議と眠くならない会議の違いは会議での発言量、つまり会議への関心度合いによると考えられます。
会議の中で発言量が多いということは、その会議における関心も高く、会議中に眠くなることはありません。しかし会議中に発言をしない状態が続けば、時間の経過とともに会議内容への関心が薄れ、徐々に眠気に襲われるようになっていくのでしょう。
眠くならない会議を開く改善方法とは?
会議中に眠くなる原因が分かったので、次に実際に会議で参加者が眠くならないようにする対策について見ていきましょう。
ここでは会議の仕組みを変えることで改善できる「会議への関心のなさが理由で眠くなる」課題について掘り下げていきましょう。
対策①:会議内容を明確化すること
会議への関心を高める方法として、参加者に「会議内容を明確化すること」があります。会議の内容や議題を参加者に事前に伝え、明確にすることによって参加者の関心を会議に向けることができます。
また会議の議題を自分事として捉えられるようにすれば、参加者の主体性が増し、積極的に会議に参加するようになります。
会議内容を明確化するにあたって抑えるポイントはシンプルに次の2つだけ。
- ・アジェンダの明確化と事前共有
- ・アジェンダの明確化と事前共有
まずあらかじめ会議の目的とアジェンダを明確にし、関係者ではない当事者としての参加者に周知して活発な参加を促すこと。そして決定事項と実施事項を箇条書きにしたメモを共有すること。たった2つを押さえるだけで、会議の時間はぐっと生産的に変わります。
情報共有ツールなども導入すれば、会議終了と同時に全員が議事メモをデータとして保持している状態にもできますから、開催後の議事録作成の負担も減るでしょう。
対策②:会議を内容ごとに区切ること
参加者全員が議題に関心を持ち、会議に参加する。開催者としては、参加者には積極的な姿勢で会議に臨んでほしいものです。そのためには前述の会議内容を明確化することに加えて、会議を内容ごとに「区切る」という意識がけも大切です。
一口に会議と言っても、種類は様々です。
- ・何かを「決定する」会議
- ・事業スケジュールを「区切る」会議
- ・情報を「共有する」会議
- ・アイデアを「発散する」会議
- ・知識やスキルを「教える」会議
など、目的によって会議の種類はいくつもにも分類することができます。
会議の種類については、「意外と知らない?会議の種類」で詳しく解説しています。
会議への関心を高めるには、まず開催者が会議の「目的」をアジェンダの明確化と共有によって行い、会議を終えた時に何が得られているかといった「価値」を明確にすることが大切です。
次に参加者の集中を維持するためにも、事前に設定した「目的」ごとに会議も内容ごとに区切っていくことが大切です。精神科医である樺沢紫苑さんによると、人間の集中力には「15分・45分・90分の法則」があるそうです。人が最も深い集中力を持続できる時間は15分。人が本来のパフォーマンスを発揮できる限界の時間が45分。そして人が集中力を保てる限界の時間が90分とされています。
また東京大学大学院の池谷裕二教授と株式会社ベネッセコーポレーションが行った「勉強時間による学習の定着・集中力に関する実証実験」によると、「連続して60分」勉強を行ったグループよりも、「休憩を挟んで15分×3(計45分)」勉強を行ったグループの方がテストの点数が高かったという結果が出たそうです。
この結果から見ても、会議の時間は目的ごとに「15分?45分」で区切ってしまった方が高い集中力が維持できるでしょう。
このデータを活かして、Googleでは、大きなタイマーをプロジェクターに映しながら進めることで、会議時間の延長を防止して、課題への高い集中力を維持させていると言われています。
だらだらと会議が続かないよう、開催者側であらかじめ時間配分を決めておくことがポイントです。会議の終了時刻の厳守を心がけ、決められたスケジュールを目安に時間までに結論が出せるよう進行を工夫することが大切です。
それでも眠くなってしまうのを防ぐコツとは?
ここまでは開催者側の工夫について述べてきましたが、ここからは参加者の立場から、会議中に眠くならないための個人的な対策について考えていきます。
まず会議前の食事のとり方から見直してみましょう。
食後の血糖値の急激な乱高下は、眠気に大きく影響すると言われています。食事をとるタイミングや食べる順番、早食いを避けるといった意識をすることで、眠気の抑制が期待できます。具体的には、まず糖質の摂取を控えること。例えば、白米やパンよりも、そばや玄米などを食べた方が血糖値の急激な上昇が抑えられるといわれています。
また、食べる順番にも気をつけたいところ。最初に野菜やきのこ、海藻類から食べると、血糖値の上昇が緩やかになり、さらにその際、ゆっくり食べるようにするのも、血糖値の乱高下を防ぐことにつながると言われています。
オフィスで過ごす時間が多いビジネスマンの場合は、室内の酸素不足も眠気を引き起こす原因となることがあるそう。二酸化炭素濃度の高い環境では集中力に支障をきたし、眠気につながったり、仕事のパフォーマンスが低下してしまうケースも。
手軽な対策としては、室内をこまめに換気すること。たとえ寒い冬の時期であっても、定期的に空気の入れ替えを心がけましょう。会議室に室外に出て風を当たると、眠気を覚ますとともにリフレッシュ効果も期待できます。
上記以外にも、できる範囲で色々な方法を試し、自分に合った眠気対策を探りたいものですね。
会議から始める働き方改革
いかがでしたか?会議というものは、本来さまざまな立場から意見を出し合い、ぶつけあうものです。しかし、もしあなたが無駄な会議が多いと感じているのなら、参加する会議への集中力が途切れ、眠気に襲われてしまうのも仕方ないでしょう。この眠気はあなただけでなく、職場の同僚や同じ会議に参加している方々も感じているかもしれません。
眠くなってしまうような非効率な会議は、参加者の士気を下げるばかりか、生産性が低下し、売上減少にも繋がりかねない重要な解決課題です。
まずは「なぜ会議をするのか?」を明確にして、会議が本当に必要なのか問うところから始めてみてください。次に会議の時間を最小限のものにして、会議の内容ごとに細かく区切ることも大切です。
有意義な会議のみをひらけるようになれば、やるべきタスクにより多くの時間を避けるようになります。長く成功する企業では、その基礎環境が整っているのです。
会議を漫然とひらき、消化し続ける会議の日常から脱却しましょう。
参考・出典
- ・週1回の役員会議のために社内で使われる時間は年間30万時間 | ライフハッカー[日本版]
- ・「ムダな会議」による企業の損失は年間15億円 │パーソル総合研究所
- ・無駄な会議、長時間会議……企業が抱える会議課題と、効率化への取り組み実態は:会議の削減/短縮に関する調査レポート│TechTargetジャパン
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