法制度から考える、今すぐ取り組めるペーパーレス化

From: 働き方改革ラボ

2018年08月27日 07:00

この記事に書いてあること

「ペーパーレス化したいけど、どこまで電子化していいの?」

昨年の法改正で、文書の電子化を認める「電子帳簿保存法」の要件が大幅に緩和されたことはご存知ですか?これまでの規制緩和で、ペーパーレス化は実現しやすくなりました。

今回は、文書の電子化を認める「e-文書法」、「電子帳簿保存法」の観点で、今すぐ取り組めるペーパーレス化について考えていきましょう。

密接な関係にある働き方改革とペーパーレス化

テレワークなどの働き方改革を推進する上で、文書のペーパーレス化は必要となります。業務文書を電子データに置き換え、インターネット経由でアクセスできる環境を整えれば、場所の制約を受けることなく、いつでもどこでも自由に業務が行えるようになります。

また、紙の書類をすべて電子化できれば、業務の大幅な効率化が期待できる上、これまで書類の保管にかかっていた労力やコストを削減できます。働き方改革の推進とペーパーレス化は切っても切り離せない関係だといえるでしょう。

しかし現状は、なお紙の書類をメインに使い続けているという企業も多いのではないでしょうか。技術面でいえばかなり前からペーパーレス化が可能になっていたにも関わらず、普及が進まなかったのはなぜでしょうか。その理由の一つが、法律です。

「e-文書法」と「電子帳簿保存法」の違い

現在、企業が業務で使用する文書の電子化について定めている法律は「e-文書法」と「電子帳簿保存法」の2つで、これらによって認められた文書については、記録メディアやファイルサーバーなどに電子データとして保存することが可能です。いずれの法律も文書の電子化を認めるという意味では同じですが、対象となる文書と管轄している省庁に違いがあります。

e-文書法

2005年4月に施行されたe-文書法は、民間事業者が税法や商法などの各法で保管を義務付けられている財務・税務関係の帳票類、見積書、契約書、納品書、取締役会議事録、図面等の文書について、電子データによる保存を認めた法律です。

最近の法改正では、紙として保存された文書をスキャンして画像ファイルとしたものも正規文書として認められるようになりました。同法は財務省、法務省、経産省、総務省、国交省などさまざまな省庁が管轄しており、内閣官房が全体をとりまとめています。

電子帳簿保存法

一方、1998年7月に施行された電子帳簿保存法は、財務省・国税庁が管轄する税法に関連した法律で、会計帳簿や国税関係書類を対象としています。

契約書、領収書、仕訳帳、総勘定元帳、売上帳、貸借対照表、損益計算書など、税務や経理に関係する文書についての電子化の方法を具体的に定めたものです。

規制緩和で取り組みやすくなったペーパーレス化

これら2つの法律では文書の電子化を認めていましたが、その内容には差がありました。たとえば決算関係書類については、e-文書法では商法で求められる文書の原本についてスキャンデータでの保存を認めていますが、電子帳簿保存法では認めていませんでした。

しかし2017年1月、スキャナ保存制度の規制緩和が実施され、領収書やレシートをスマートフォンで撮影して電子保存することが認められるようになりました。また、スキャナ保存制度に義務付けられていた原則7年の原本保存も撤廃されました。これにより、受領者本人がスマートフォンで領収書を撮影し、自社サーバーやクラウドにデータを転送して保存。その後、税理士などの検査を受ければ原本を破棄できるようになりました。

領収書やレシートのファイリング作業が不要になれば、経理業務は大幅に効率化します。ただし、データを保存する際には電子的な時刻証明書であるタイムスタンプの付与が義務付けられており、最大1か月+1週間以内に付与する必要がありますので気をつけましょう(受領者以外による確認も必要)。なお、スマートフォンで撮影・保存できる書類は、領収書やレシートに限りません。契約書、預金通帳、手形、見積書、請求書ほか、基本的に帳簿と決算関係書類以外は可能です。

このように、文書の電子保存が容易になったことで、ようやく我が国でもペーパーレス化への取り組みが本格的に動き出したのです。

取り組むなら、できることから

働き方改革を実践していく上で、紙の書類はどこかでボトルネックになってきます。テレワークの制度を導入しようとしても、業務で紙の書類を使っていては、社外でできる作業はおのずと限られてしまいます。

ペーパーレス化推進で大事なのは、まず何のためのペーパーレス化なのかを考え明確にすることですが、その上でできることから実践してみてはいかがでしょうか。

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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