今すぐマネしたい!労働先進国・ドイツの秘密

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ドイツ成功の秘訣は特徴的な働き方にあり?!

現在、働き方をめぐる問題がクローズアップされています。少子高齢化の進行と生産労働人口の減少が深刻となり、多くの業界が慢性的な働き手不足に悩んでいるのです。

一方で、新たな社会的ニーズへの対応やグローバル化の進展から業務は複雑化・高度化し、カバーしなければならない業務の量は増大、結果に求められる迅速性も年々強まる傾向にあって、働ける人々の労働環境も悪化しているケースが少なくありません。

これらは日本だけでなく、およそ先進国などで共通する世界的な課題ですが、例外的に成功を見せている国があります。ドイツです。労働先進国として注目されるドイツでは、どのような働き方が実践されているのでしょうか。日本との相違点などを通じ、理想の働き方について考えてみましょう。

まず、日本とドイツの労働環境を比較します。日本では、近年大企業における過労死の発生やブラック企業の問題などが注目されています。報道は氷山の一角に過ぎない可能性があり、早急な改善が求められています。

古くから世界的に見て"働き過ぎ"など、労働時間の顕著な長さが取り沙汰されてきた日本ですが、OECDの2016年調査でも年間平均1,713時間と、さらに長い国もあるものの長めであることには違いないようです。一方ドイツは平均1,363時間と、およそ25%も短い労働時間であることが分かっています。

oecd1-2-thumb-800xauto-228.png2015年のOECD調査になりますが、このドイツと日本を労働時間あたりのGDP(国内総生産)で比較すると、ドイツが58.98ドルであるのに対し、日本は39.45ドルと1.5倍もの差がありました。近年のドイツ経済の強さからも分かるように、ドイツは短い労働時間でも高い水準のGDPを維持、大きな成果を上げて効率よく働いているのです。

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こんなに違う!日本とドイツの労働

加工と輸出に力点を置く工業大国、職人の力に支えられた伝統的なクラフトマンシップといえる専門性の高い技術力に先端テクノロジーの広がりと、日本とドイツには産業構造などの点でよく似た特徴があります。さらに、勤勉でルールを徹底遵守するといったドイツ人のイメージも、日本人に近いと感じられるかもしれません。

しかしドイツ人の"勤勉さ"は労働時間には表れず、むしろ休暇重視志向が当然で、日本の労働環境とは対極にあるスタイルが国全体に浸透しているのです。なぜそれでも高い企業業績や価値創出を記録して欧州経済を牽引し、GDPの合理的な高さを実現できているのでしょうか。

まず有給休暇の仕組みに日本とは異なる特徴があります。ドイツでは、連邦休暇法という法律で最低24日間の年次有給休暇を与えることが義務づけられています。多くの企業では、これにさらに6日を足した年間30日の有給休暇が設けられており、続けて取得すると日曜日も挟まれることから、かなりまとまった期間のバカンスなど有給休暇を取る人が多く見受けられます。

病気による休暇はきちんと別に設けられており、診断書の提出で最長6週間までの病欠が可能、給料ももちろん支払われますから、これに有給休暇分をあてる必要はなく、有給休暇は純粋に自由な楽しみのための休暇として使うことができます。

ドイツでは労働者における私生活の充実は、生産性を高める上で非常に重要という意識があり、人々はゆっくり楽しみ、リフレッシュできる環境があってこそ、高いモチベーションを保てるとされているのです。

2つ目の特徴として「労働時間貯蓄制度」というものが導入されています。例えばある日に2時間残業すると、その2時間分が"貯金"され、後に貯まった分だけ休暇や早退を取ることができるのです。有給休暇に振り替えることができるケースも多く、また"貯めすぎ"へのチェックも徹底されており、残業分が多くなってきている社員には、上司から警告がなされる仕組みとなっています。

この制度により、働き過ぎが防止され、企業側も繁忙期や景気繁閑とコストを鑑みた弾力的な労働の調整が図りやすくなるなどし、理想的なウィンウィンの関係が保たれているのです。

こうした環境の整備、労働時間の管理徹底を支えているのは、行政による細かな指導です。労働基準監督署の担当者が、日々抜き打ちで企業を訪問し、タイムカードなどの記録をチェックします。違反が見つかれば労働時間法に基づき、経営側へ最高約180万円の罰金や1年間の禁固刑が科せられます。科せられた罰金については、該当する課の管理職にポケットマネーで支払わせるなどの仕組みも取られるため、労働時間の管理には、現場から常に細心の注意を払うものとなっています。

違反や指導が繰り返しある企業には、優秀な人材も集まらなくなるため、結果的にペナルティ以上の大きなマイナスを被ることにもなります。結果として、経営者や管理者はみな積極的に労働環境の整備改善に取り組むようになるのです。

労働者自身の意識も重要

労働者自身や社会全体の意識にも国民性を反映してか、大きな違いがあります。例えばドイツでは、たとえ仕事が片付いていなくても、社員は有給休暇を取り、毎年すべて消化するのが当たり前です。日本のように、有給休暇を申請することに遠慮したり、消化することが悪であると感じられたりするような雰囲気はありません。

もしチーム内でメンバーの休暇取得により必要業務が納期までに終えられない、求められる仕事量をこなすには休暇が取れないといったことがあれば、リーダーである上司が解決策を考え動くことが必要とされ、上司の管理責任が一番に問われます。

個々人の取り組みでも、勤務時間内に仕事を終えることこそが評価され、サービス残業は悪と捉えられています。残業しなければならない人は仕事が遅い、片付けられない人として評価が下がり、残業手当が出ても出世できません。

誰もが休息の重要性を認識しており、マネジメントされていない労働時間はあってはならないと考えているのです。自らがやるべき仕事、取り組むべき時間の明確化も進んでおり、無駄は一切行わない、仕事は厳しいけれど集中して短時間で終わらせる、休みは思いっきり休む、と切り替えが非常にクリアに行われています。もちろん、オープンに何でも発言できる現場のフラットな雰囲気が基盤にあることも指摘できます。

また、仕事の取り組みに対する柔軟性にも優れ、ただ完璧を求めるのではなく、場合によっては7割でよいと割り切れる姿勢をきちんと持っています。このメリハリと割り切りが効率化のポイントでもあるでしょう。

それでも労働時間や環境面で問題を抱えた場合には、個人で悩むのではなく、専門家に相談するという習慣もしっかりと根付いています。いずれのポイントも、日本とは真逆といってもよいほど違いがあることが分かりますね。

ドイツが今後も経済的成功を続けられるかどうかは分かりません。同国は、失業率の高さのもととされた手厚い失業補償制度から、再雇用促進に政策の軸足を動かしたことで、失業率は低下したものの、低賃金労働層が増加、格差の拡大が新たな問題になっています。AIなど最新技術による第四次産業革命で、働き口が減少すれば、さらにこの問題が深刻化する可能性もあるでしょう。

しかし現状、日本がドイツに学ぶべきところも多いことは確かです。基本的な労働環境を企業とともに整備する制度面からの抜本的な改革が必要と考えられるほか、労働者自身の意識改革も必要です。まずは自らの仕事内容と労働時間を明確化し、マネジメント能力を身につけることから始めましょう。

有給休暇を取るなんて悪い、皆が残業しているから私も、といった考えにとらわれていないでしょうか。緩慢と取り組まず、時間を区切って無駄を省き、自分がやるべきタスクを集中して片付けることが大切です。そして休息の重要性を理解し、充実した私生活の実現と仕事への高いモチベーションをさらに発揮していくといった好循環を回していけるとよいですね。

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