AIで業務効率化!できること・できないこと

From: 働き方改革ラボ

2017年12月11日 07:02

この記事に書いてあること

AIに仕事を奪われる?共生する社会の到来は?

昨今、AI(人工知能)への注目度が加速度的に高まり、いわばひとつのブームとして、メディアで目にしない日はないほどのキーワードになっています。一部ではあと数年でこの仕事はAIに取って代わられる、あなたの仕事は不要になるといった不安を煽る論なども登場しており、現段階では期待と不安の入りまじった気持ちで、状況を見守っているという方もいるかもしれません。

こうした論にも根拠がないわけではなく、実際に企業がコスト削減と効率化の観点から、AIを中心とする最先端技術を導入し、人員の削減を図るケースも増えてきています。先日の2017年10月末には、国内3メガバンクが単純業務のデジタルによる自動化を推進し店舗や人員を大幅に削減、単純合計で32,500人分の業務をカットするとの報道がなされ、世間に大きな衝撃を与えました。

一方で、オフィスで通常業務を行っている多くの方にとっては、まだまだAIなど遠い存在で、身近な変化は感じない、何に影響や効果があるのかイメージすらしづらいように思われているかもしれません。そこで今回は、AIの現状と可能性について概要をまとめ、今後日々の業務はどう変わっていくと考えられるのか、整理してみていくことにしましょう。

AIが発揮する強み、変わる業務

近年におけるAIの技術開発には目覚ましいものがあり、かつてのルールベースによるプログラミングや、人間があらかじめ作成したアルゴリズムによる機械学習処理といった水準から、今日ではまさに人間の脳の仕組みを模したディープラーニングの領域へと到達しました。

使えば使うほどに賢くなるAIが実用化されたことにより、かつてに比べるとはるかに高い抽象化が可能となったほか、人間による手入力を必要とせず、膨大なデータの自動学習ができるようになったのです。

その結果、AIは予測したいものや達成したい目的に適した、学習対象となるデータ変数を膨大な多種多様の入り混じるデータから抽出し、計算処理を行って、一定の最適ルールを導き出すことを得意とし、ビジネス領域で活用されるようになりました。

さらに一度ルールを見出して終了するのではなく、PDCAサイクルを回転させ、より最適なルールへとブラッシュアップを続けること、高精度な判断を実現させていくことが、休みなく高速で実行できる点にもAIの大きな強みがあります。

こうした処理能力と学習スタイルの点では、もはや人間を超えた水準にあるといってよいでしょう。人間では思いつかないような関係性やルール、手法を、より最適な解として発見し、提示したり、それに基づいた処理を実行したりすることができるのです。

こうした強みをもつAIですが、現在の実用化されたAI技術による機能領域を整理すると、主に音声や画像の認識・解析を行う識別機能、数値や対象のニーズ、マッチングといった予測機能、行動の最適化や作業の自動化を行う実効機能の3つがあり、これらの精度向上と組み合わせで活用されています。

実際の業務応用例をみてみましょう。導入が進んでいる代表的なシーンに、問い合わせ対応があります。顧客から寄せられた問い合わせの過去データから、寄せられた質問・相談の内容を分類、複雑なものではなく最適な回答をすぐに提示できるものと判断した場合、オペレーターを介さず、自動で対応、AIのチャットボットなどが処理を行います。

複雑な内容を含むと判断したら、オペレーターに切り替える仕組みで、その場合には音声のテキスト化を通じ、流れをオペレーターに示すほか、先回りして候補となる回答例を提示、オペレーターの対応をサポートして負荷を軽減することもできます。

問い合わせの対話履歴から学習し、回答精度は使えば使うほど向上します。人間のオペレーターによる対応では、24時間体制のサポート実現は難しかったり、多くの問い合わせに応じる上での限界やストレス負荷などの問題が生じたりと、課題としてあるポイントの多くを解消または改善することができるでしょう。

一般に多言語対応しているので、サービスを提供するにあたり、各国語対応の窓口を別に設けたり、バイリンガル・マルチリンガルなオペレータースタッフや現地オペレーターを雇う必要性が薄れ、グローバル展開も踏み切りやすくなります。細やかなサービスで差異化を図りたい、あらゆる企業の業務効率化と顧客満足度の向上に寄与するものとなるでしょう。

また社内にある膨大で多様なかたちに散在しているデータの適切な管理・活用にも、AIは有用です。データの集約やタグ付けを行って整理し、一括して検索できるようにするなど、人間ではカバーしきれない作業を、バックグラウンドで行ってくれるのです。

社内でやりとりしたチャットの内容やスケジュールを理解し、やるべきタスクの通知を行ったり、関連するコンテンツやインサイトの提供を行ったりといったサポートも得意とするところですね。

勤怠管理や各種データのシステム入力作業など、単純ながら多くの手間がかかっている業務を、AIで自動化すると、人件費の削減になるだけでなく、社外への委託から自社内での作業プロセス完結へと切り替えられ、トラブルやリスクの防止・管理が行いやすくなります。人間の場合、長時間同様のデータ入力作業などを行うと、集中力が低下し思わぬヒューマンエラーを起こしやすくなりますが、そうしたミスも未然に防止できます。

AIは会議のかたちも変革します。識別機能の音声認識やデバイス・電子黒板などの自動認識技術で、会議のログを正確に残せ、必要な場合は多言語翻訳にも対応します。これにより、手間のかかっていた議事録作成や、翻訳の作業負担が大幅に軽減されることになります。IBMが開発した質疑応答・意思決定支援システム

Watsonでは、会議内において、タスクを誰がいつまでに行うといった話し合っておくことが必要な事項を決め忘れている場合、アラートを出す機能も実装しています。 細かな調節が必要な社内環境・設備設定の最適化もAIに向く作業です。例えば、データセンター内に設置した多数のセンサーから、温度や消費電力、稼働速度などのデータと消費電力の間にあるパターンを学習し、最適に自動調整することで、大幅な省エネ、コストカットを実現するなどしています。

人間が活躍する部分は?AIとの共生へ

こうした膨大なデータの処理や業務最適化の実施、一定のアルゴリズム、ルールを導き出して予測最適解を提示するといったことは、AIが得意とするところであり、人間以上の活躍で可能性をさらに拡大していくと考えられます。

しかし、何もないところから仕事を見出して作ることや、疑問や気づきに基づいて新たな価値を創出するといったことは、人間の知能ならではの領域にあります。それらはあらゆる要素が複雑に絡み合い、本人も意識しない背景までを含めたスキルと経験、思考の賜物として生み出されるところであり続けるでしょう。

AIは万能ではありません。何ができ、何ができないかを理解し、人間がどういった分野でどのように使用するのかを決めていくことが、有効に活用できるか否かを決める大きなポイントです。対象とする領域の幅広さや可能性の大きさには、これまでにない点が多々指摘できますが、こうした接し方においては従来の技術と変わりません。

定型的な作業で人間のパフォーマンスを上回るものについては、AIが導入され、そのAIを監視したりサポートしたりするための仕事が、新たな人間の役割となるなど、仕事の再配置や変化は発生するでしょう。しかしそうした中で、人間にしかできないこと、細やかなコミュニケーションやクリエイティブ性が必要な業務に集中できる環境が生まれ、より高度な能力を存分に発揮させていく効果が期待できるのです。

AIで働き方改革を

AIができること・できないこと、得意なこと・不得意なことについて、おおよそを把握することができたでしょうか。現段階での応用は、高頻度の単純タスクなどに限られていますが、これらを人の手で行い続けるのは大変な負荷であることに違いないですよね。

この人間らしい能力リソースを集中投入できないもとともいえる業務をAIに代替してもらえるようになれば、より高い生産性とモチベーションを発揮して働きやすくなるかもしれません。AIを上手く活用することによって、働き方改革を進めることが可能になるのです。

AIは中長期的な導入と開発が必要ですから、明日から急にとはいきませんが、将来を見据えて職場で話し合うなど、何らかのきっかけとなれば幸いです。

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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